研究課題
基盤研究(C)
本研究は、日本の植民地を経て中華民国の統治下で急速な工業化を達成した台湾の事例の分析を通じて、20世紀における東アジアの工業化の歴史研究を発展させようとするものであった。研究では、中小零細工業の発展に着目し、それらが1940年代の政治的断絶にも関わらず継承される部分が多かったことが判明した。また、明確な断絶があった繊維産業についても、日本統治期に地方の末端レベルまで繊維市場が広く展開していたことが判明した。また、期間中に研究課題に関連する単著が出版された。
経済史
本研究の成果は、学術的には、植民地の工業化に関する認識の発展に寄与するものである。また、社会的には、期間中に出版された単著(『緑の工業化 台湾工業化の歴史的起源』名古屋大学出版会)が、発展途上国研究、中小企業研究として高く評価され、アジア経済研究所第43回(2022年度)「アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞」および商工総合研究所第47回(2022年度)「中小企業研究奨励賞」経済部門準賞を受賞した。