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2022 年度 実施状況報告書

近現代中国鉱工業における技術者養成の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K01727
研究機関島根大学

研究代表者

富澤 芳亜  島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (90284009)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード近代中国の紡績業 / 中国の工業化 / 近代中国における外国資本 / 在華紡
研究実績の概要

本研究の目的は、近代中国における工業技術が、社会主義化などの政治的な変動を超えて継承されたことの解明にある。令和4年度には、これに関連する以下の成果を公表できた。
桑原哲也、富澤芳亜、藤田順也「大日本紡績上海大康紗廠工場長の回顧(上):浅井大造氏インタビュー」『近代中国研究彙報』(査読無し)、45号、1~41頁、2023年3月。ここでは、在華紡他社とは異なる大日本紡績(中国名大康紡)における人事のあり方などを、当時の証言から明らかできた。
また令和4年度においては、海南島における鉄鉱石「開発」に関する調査を行った。海南島では、1939年2月の日本による占領以降、石原産業が田独鉄山、日本窒素肥料が石碌鉄山を「開発」し、鉄鉱石を日本に供給した。従来の研究では日本の占領期にとどまっていたが、本研究では、戦後国民政府期、中華人民共和国期においても、海南島鉄鉱石の再開発がなされ、その一部は対日輸出されていたことが判明した。海南島産の鉄鉱石は、中国国内でも希少な高品位鉄鉱石の富鉱であったが、中華人民共和国成立以降の鉄鋼コンビナート建設では、離島である海南島の鉄鉱石は「バッファ」の地位に置かれていた。しかし日本への供給では、海上輸送が主となり、そのための鉱山と港湾を結ぶ運鉱鉄道と搬出のための港湾設備、選鉱のための発電所などの諸施設は、日本占領期に急速に整備された。しかし急造設備には問題が多く、日本の敗戦時にはほぼ使用不可となるが、これを基礎に中華人民共和国期に復興されたことも明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和4年度は、【研究実績の概要】に記したように、1つの成果しか公表できなかった。
コロナウィルス感染症の世界的な蔓延により、本研究計画はおおきな影響を受けることになった。本研究計画は、中国現地の文書館所蔵の一次文書を用いて、近代中国における工業技術の形成過程を解明するものである。しかし、コロナウィルス感染症により、中国への渡航は事実上不可能であり、令和3年度に続き、令和4年度も現地調査を断念せざるを得なかった。国内の研究機関の使用は可能とはなったが、制限は残り、なかなか東京や京都に移動できず、基本的には勤務地である島根県松江市での活動が主となった。
そのため一昨年度、昨年度の【今後の研究の推進方法】に記したように、古書店を経由して、研究計画に関連する多数の貴重な中国の古書を入手した。これにより多くの新たな知見を得ることができたが、はやり現地の文書館の一次史料に代わり得るものではなく、更に研究計画を一年間延長することになった。

今後の研究の推進方策

国内の主要な中国関連の図書館(東洋文庫、東京大学東洋文化研究所、京都大学人文科学研究所)の利用は可能となり、また移動も自由となりつつある。そのため国内の資料を利用
しつつ研究成果をまとめる。
また資料収集では、古書店などを経由しての収集につとめる。またこれまで収集した資料の分析にもつとめる。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の流行により、令和4年度に予定していた国内・国外出張を全て中止せざるを得なかったために次年度使用額が生じた。今年度の出張費、資料収集費に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 大日本紡績上海大康紗廠工場長の回顧(上):浅井大造氏インタビュー2023

    • 著者名/発表者名
      桑原哲也、富澤芳亜、藤田順也
    • 雑誌名

      近代中国研究彙報

      巻: 45 ページ: 1-41

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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