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2021 年度 実施状況報告書

北海道における労働市場の形成と「初期移民」-近代の炭鉱労働者を事例として-

研究課題

研究課題/領域番号 18K01729
研究機関北九州市立大学

研究代表者

土井 徹平  北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (30650840)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード石狩炭田 / 労働市場 / 労働移動 / 北海道移民 / 移住 / 北海道炭礦汽船株式会社 / 炭鉱 / 鉱山
研究実績の概要

当該年度、拙稿「北海道石狩炭田における労働市場の形成と変容-1900年代から1910年代を中心として-」の『社会経済史学』第88巻1号での掲載が決定した。
本論文は、科研費を用い収集した北海道炭礦汽船株式会社の経営史料「北海道炭礦汽船株式会社寄託文書」と、北海道庁がまとめた移民に関する調査資料「北海道来往住者戸口表」、そして鉱夫の同職集団「友子」に関する一次史料(「取立免状」)を用い、石狩炭田への労働移動の実態を分析したものである。
一連の研究により、石狩炭田の開発初期、北海道移民の送出地域(北陸三県および宮城県)と石狩炭田の間に、持続的な移動流が生じていた事実が明らかになった。これは炭鉱業に入職した先行移民が、同郷者の石狩炭田への移住を促し、またそれをサポートしたことで、移民送出地域からの「連鎖移住」が見られたためである。
この労働移動に際し重要な役割を果たした先行移民について、より詳細な分析を行うため、当該年度は北陸地方の鉱夫に関する史料調査を行った。そして岐阜県高山市において、「明治十九年乃至二十二年 鉱業者身元調」(高山市)を撮影し入手することができた。この史料は、石狩炭田への「連鎖移住」に深く関与していた可能性のある「渡り鉱夫」の社会的属性や職歴(移動歴)を記録した文書である。
また同地方の「渡り鉱夫」が足尾銅山(栃木県)にも移動し、やはりここでも「連鎖移住」の起点となっていた事実を史料的に確認し、当該年度はこれに関する情報収集と分析も行った。そして足尾銅山と神岡鉱山(岐阜県)との間に「渡り鉱夫」の移動流が存在し、彼らに付き従う形で多数の北陸地方出身者が関東に移動していた事実を史料的に裏付けることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍の影響で当初予定していた回数の史料調査は行えなかったが、研究は滞りなく進めることができ、予定通り当該年度内に拙稿の査読誌での掲載が決定したため。

今後の研究の推進方策

まず、現在進行中の先行移民と連鎖移住に関する研究を深め、早期での学術雑誌への掲載を目指したい。
また、コロナ禍の影響で行えずにいる北海道博物館での史料収集を行い、1920年代から1930年代の労働市場の実態に関する分析も行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響で予定していた回数、史料調査を行えなかったため。残余分は次年度の出張費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 北海道石狩炭田における労働市場の形成と変容-1900年代から1910年代を中心として-2022

    • 著者名/発表者名
      土井徹平
    • 雑誌名

      社会経済史学

      巻: 88-1 ページ: ―

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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