研究課題/領域番号 |
18K01731
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
柳生 智子 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (40306866)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | アメリカ南部 / 奴隷貿易 / 大西洋経済 / 奴隷商人 |
研究実績の概要 |
平成30年(2018年)度は本科研費の初年度であったが、前科研費中に決定していた第18回世界経済史会議(World Economic History Congress) でのパネル報告を国内外の研究者らと行った。2018年8月にアメリカ・ボストンで開催された学会のこのパネルはU. S. South in Global Perspective: 1800 to the Presentと題され、本研究代表者はパネルのオーガナイザーとして日米の研究者の研究報告のとりまとめと交流に努めた。本研究代表者はReconsidering the Interregional Networks and Financial Connections in the Domestic Slave Tradeという報告の中で、19世紀前半のアメリカ南部内奴隷取引の商業網及び金融ネットワークについて、奴隷商人の資料を元に報告し、近年の奴隷研究・奴隷貿易研究についても言及した。1800年から現代まで扱った同パネルでは南部の都市化の問題、人種及び公民権の問題、移民問題、農作物需要に至る多様な研究が取り上げられ、報告した研究者らのバックグラウンドも経済学、歴史学、公共政策など様々であったことから、オーディエンスも幅広い分野で活躍している研究者が集まる活気あふれるパネルとなった。2年後のSocial Science History Associationや3年後のパリでの第19回世界経済史会議での報告も引き続き取り組んでいくことを確認しあった。また、ボストン滞在中にハーヴァード大学図書館でいくつか資料を確認することもできた。国内では一般向けのアメリカ経済の入門書の項目の執筆し、欧米経済史のテキストの執筆も進行中である。完成には至っていないが論文執筆、著作の執筆も並行して行ってきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学務その他の関係上、長期間の海外での資料収集の目途が立たず、研究の一部が進展していない状況である。国内で取得できる資料などを元に執筆を進めつつ、現在抱えている他の研究プロジェクト(経済史テキストの執筆)や、2020年度のSocial Science History Associationでの報告のとりまとめ、2021年度の国際経済史会議のプロポーザルの準備を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
2019度は昨年の報告や資料収集などの成果をもとに、次の執筆活動を中心に研究を行う。1点目は欧米経済史のテキストの完成で、大阪大学の共同研究者と執筆中である。2点目は植民地期アメリカ南部の奴隷貿易と西インド諸島の関係について論文をまとめていく。3点目は植民地期アメリカ南部の奴隷制度と、奴隷貿易廃止後の19世紀初頭の南部の奴隷制との連続性についての考察を論考としてまとめる。2019年度の研究報告は予定していないが、2020年度、2021年度は国内外での報告を準備している。また、2019年12月または2020年1月に海外共同研究者の招請と同研究者のアメリカ経済史学会や学内セミナーでの報告を計画している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた国内外の学会参加などの出張が学務等の理由で実現せず、機器・物品の購入も急を要するもの以外はすぐに購入には至らなかった。次年度以降は出張が増え、パソコンの購入も予定しており残額も消費する予定である。
|