植民地時代の貿易構造や大西洋奴隷貿易との関わり、特に同じくイギリス植民地であった西インド諸島と北アメリカ南部の植民地の関係性についての研究はこれまで十分行われておらず、本研究がサウス・カロライナ植民地の商人資料を通してその性質や特徴を解明できた成果は大きい。植民地奴隷貿易と商人のネットワークの分析は商人層の成熟度や他の植民地とのつながりを把握できたという点でこの分野の研究を前進させた。奴隷に限らず多くの商品を取引した記録から、鹿皮や軍需品用木材などの大西洋貿易の実態も明らかになり、植民地時代の貿易が建国後に持ち越される経緯の解明につながった。
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