令和4年度においては、平成30年度・令和元年度に実施して以降、新型コロナ感染症の影響により中断を余儀なくされていた、長野県における戦前期の地域金融組織に関する資料調査を同年度後期に再開して、新たなデータの獲得を試みた。また、戦前期における長野県下で設立経営された地域金融組織に関連する、データの入力作業を引き続き行った。 また令和3年度に購入をした、明治期の営業報告書および関連資料から得られた、長野県下で設立経営されていた複数の群小地方銀行に関する情報に基づいた、データの入力作業についても、継続して行った。 加えて、長野県と並んで戦前期の日本国内における蚕糸業地帯が存在した、福島県下で設立経営された地域金融組織に関する資料調査を試みて、地方信託会社の経営に関連する資料を確認した。福島県下で設立経営された地方信託会社に関連する、データの入力作業に着手した。 ただし、令和4年度においては資料調査の再開・実施が当初の予定より遅れた事もあり、研究最終年度に予定していた、研究発表には至らなかった。 研究期間中である令和3年度には、入力したデータの一部を手がかりにして、オンラインで参加可能であった学会部会で研究発表を行った。研究期間中には、地方金融史・地域経済史研究に関連する、複数のオンライン研究会にも出席した。戦前日本の地域金融組織を歴史的に検討するのに当たって、地方金融史・地域経済史の研究者によって現時点で展開されている分析手法や研究上の論点を、積極的に把握する事を目指した。
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