研究課題
基盤研究(C)
本研究では、長野県小県郡塩尻村と、福島県伊達郡藤田村に関する資料調査を実施した。戦前期日本の蚕糸業地帯における、地域金融組織の事例について考察を試みた。長野県小県郡上塩尻村では、1880年に塩尻銀行が設立された。永続講が塩尻銀行の前身であった。塩尻銀行の主な株主は、上塩尻村に住む蚕種商人であった。福島県伊達郡藤田村では、1913年に藤田信託が設立された。藤田信託の主な株主は、藤田村および周辺村に居住していた。
経済史
1893年に施行された銀行条例や、1923年に施行された信託業法により、法的規制が強化される前には、蚕糸業地帯が存在した長野県や福島県においては、群小地域銀行・銀行類似会社・信託会社などの小規模な地域金融組織が多数設立されていた。本研究では事例として、長野県小県郡塩尻村で設立された塩尻銀行と、福島県伊達郡藤田村で設立された藤田信託について検討を試みた。地域的な人的関係・共同性を背景にして、地域金融組織が設立経営されたものと考えられる。