研究課題/領域番号 |
18K01744
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松尾 睦 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (20268593)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自己成長主導性 / 心理的エンパワーメント / 学習志向性 / 挑戦的職務経験 |
研究実績の概要 |
本研究は、自己決定理論(self-determination theory)を理論フレームとし、自己変革の概念である「自己成長主導性(personal growth initiative)に焦点を当て、その決定要因と結果要因を明らかにすることを目的としている。 第1に、米国における様々な組織に勤務する従業員320名を対象に時系列の質問紙調査を実施したところ、自己成長主導性は、3種類のジョブクラフティング(job crafting)を通して心理的エンパワーメント(psychological empowerment)に影響を与えていることが明らかになった。具体的には、「自己成長主導性→構造的職務資源の向上→心理的エンパワーメント」「自己成長主導性→挑戦的職務負荷の向上→心理的エンパワーメント」「自己成長主導性→社会的職務資源の向上→挑戦的職務負荷の向上→心理的エンパワーメント」という3つの有意なパスが認められた。こうした結果は、自己成長主導性が、職務関連の変革活動であるジョブクラフティングを通して、仕事のコントロール感を促進していることを示している。 第2に、日本の病院における看護師365名を対象とした時系列の質問紙調査を実施したところ、学習志向性が自己成長主導性を通して心理的エンパワーメントを高めていることが明らかになった。これに対し、挑戦的な職務経験は、自己成長主導性に有意な影響を与えていなかった。この結果は、自己成長主導性は、状況的要因よりも、内的要因によって強い影響を受けていることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のテーマに関し、現在までに3つの質問紙調査を実施し、そのうち一つの調査に関しては論文を作成し、海外の審査付ジャーナルに掲載が決定している。また、もう一つの調査に関しても、現在、海外の審査付ジャーナルに投稿中である。さらに、3つ目の調査データも現在分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
上述した3つ目の質問紙調査データを統計分析し、自己成長主導性の決定要因を、職務特性、目標明確性、学習志向の観点から検討する予定である。また、自己成長主導性の決定要因および結果要因に関して、自由記述式の質問紙調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に質問紙調査を実施する予定であり、そのために前年度の研究費を使用予定。
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