研究実績の概要 |
自己成長主導性(personal growth initiative)は、自己変革をうながす一連のスキルであり、これまで主に臨床心理学、カウンセリング心理学において研究されてきた。しかし、この概念を組織的状況において検討した研究は限られている。本研究の目的は、自己成長主導性がどのような要因によって決定されているのか、また、どのような要因に影響を与えているかを、組織的なコンテクストにおいて明らかにすることにある。複数組織に対して質問紙調査を実施し、それらのデータを分析した結果、以下の点が明らかになった。決定要因に関して、①自己成長主導性は、学習志向(learning goal orientation)および目標明確性(goal clarity)によって促進されていること、また、②タスクが多様な場合に、目標明確性は自己成長主導を高めるが、タスクが複雑な場合には、目標明確性が自己成長主導性を低めることが明らかになった。結果要因に関して、自己成長主導性は①3種類のジョブ・クラフティング(job crafting)を通して心理的エンパワーメント(psychological empowerment)を高めること、②アンラーニング(unlearning)、心理的エンパワーメント、ワーク・エンゲージメント(work engagement)を直接的に高めることが明らかになった。以上の研究結果をまとめた論文は、Journal of Vocational Behavior, Human Resource Development Quarterly, International Journal of Training and Development等に掲載された。
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