研究課題/領域番号 |
18K01745
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福嶋 路 東北大学, 経済学研究科, 教授 (70292191)
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研究分担者 |
牧 兼充 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 准教授 (60348852)
新藤 晴臣 大阪市立大学, 大学院都市経営研究科, 教授 (70440188)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大企業 / スタートアップ / 連携 / スピンオフ / 地域 / ネットワーク |
研究実績の概要 |
本科研では大企業とスタートアップの連携について研究するものであった。今年度はアルプス電気盛岡工場からのスピンオフの事例について集中的に調査を行った。アルプス電気盛岡工場からは、1990年前半の時に行われたリストラの時と、2002年の工場閉鎖の時にスピンオフが多数生まれ、現在では40社を超えるスピンオフが生み出されている。その93%が生存しており、普通の新規企業の生存率に比べると格段に高いことがわかった。 今年度は、スピンオフの設立者に対して個別インタビューを行い、起業までの経緯、起業の動機、起業後のスピンオフ同士の関係について集中的にインタビューを行った。またスピンオフをしたものを取り囲む環境について重要であるという認識から、当時の関係者(大学、自治体、関係企業など)に対してインタビューを行った。結果として、以下のことが分かった。(1)アルプス電気盛岡工場(=親企業)での経験(企業文化、働き方、社内の壁の低さ など)が社員の起業家精神を高めるような内容であったこと、 (2)スピンオフをした後のスピンオフ同士が連携をし、市場の需要変動に対応したり、新たな受注先の開拓したり、最終的には新製品開発を行うなど、その関係を進化させていったこと、(3)初期の段階において大学や自治体や産業支援機関のスピンオフの対する支援の効果が大きかったこと、(4)他のアルプス電気の事業所に異動したものからスピンオフへの発注が行われていたこと、特にアルプス電気はスタートアップ設立者の能力について熟知しており、信頼があることから、発注もしやすく、全く関係のない企業へ発注するよりは、取引コストを抑えることができていたこと、(5)アルプス電気盛岡工場との取引先企業などが、アルプスOBの受け皿となり地域から人が離れる歯止めとなっていたことなどが明らかにされた。
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