日本の多国籍企業のインドへの子会社のサーバイバルは、資本金のサイズや完全子会社であることと統計的に正の関係があるが、子会社の従業員数や営業年数とは負の関係があり、また、売上高成長率と進出形態は関係がなく、従業員数の少ない企業の方が売上高成長率は高いことが分かった。さらに多数所有形態では子会社の資本金額、営業年数は正の、従業員数では負の関係があり、多数所有形態は、サービス産業の方が製造業と比較してより多い。 我が国における外資系企業の収益性を産業、知識トランスファー、所有、親会社の要因、子会社の要因の5つのカテゴリーにおける説明変数で分析した。売上高収益率は、外国人従業員数とトップが外国人であることに、純利益率には、新入社員数が統計的に正の関係があることが分かった。日本企業の情報の開示について、労働、人権、製品の安全性に関するCSRを英文の年次報告書により開示している企業ほど財務上では優れていることが指摘できた。 ニュージーランドにおける日系多国籍企業の2003-2018年の東洋経済進出企業総覧からのデータより、子会社の収益性への所有構造とCEOの国籍との関係を分析した。完全所有の場合、CEOの国籍は収益性に中立か負の効果があり、日系の多国籍企業はニュージーランド以外の他のアジア市場では本国製の製品や資源追求型の製品を追及する傾向があるが、ニュージーランドでは市場志向であることが指摘できた。 オーストラリアに進出している日系企業の子会社の経営成果の分析を東洋経済新報社の海外進出企業のデータベース2009年より2020年までのデータで行った。 資本金、売上高、従業員数、日本からの派遣社員数、出資比率を独立変数、業績指数を従属変数として多項ロジット回帰分析により、子会社の従業員数、日本からの派遣社員数、資本金は業績に対して有意な正の効果があることが示された。
|