研究課題/領域番号 |
18K01752
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
遊橋 裕泰 静岡大学, 情報学部, 教授 (90627374)
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研究分担者 |
田中 宏和 静岡大学, 情報学部, 教授 (70298280)
永吉 実武 静岡大学, 情報学部, 准教授 (80620616)
遠藤 正之 静岡大学, 情報学部, 教授 (90772294)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イノベーション人材 / 産業イノベーション / インキュベーション / ギャップ分析 / 人材育成プログラム |
研究実績の概要 |
本研究の今年度の活動は、イノベーションファクターの体系的整理を行った上で、浜松地域における現状把握と、あるべき姿とのギャップ分析を行い、それを踏まえたイノベーション加速化の施策として、人材育成プログラムを構築し、インキュベーションシステムの構想を策定するプロジェクトである。 2019年度は、1.浜松地域の産業イノベーション現状調査、2.インキュベーションシステムの事例調査、3.浜松地域の人材のあるべき姿の探究・ギャップ分析について、継続実施して深堀りした。4.イノベーション人材育成プログラムの実行と評価、5.浜松地域のインキュベーションシステムのあるべき姿の検討・試行を中心に実施した。また更に、学会の全国大会の春秋開催、学会の講演会や学生研究発表会実施、静岡ビジネスクラブや静岡起業スクールの活動支援、起業体験イベント2回共催、静銀シップの人材育成プログラムや名古屋工業大学での研修など多数の成果もあげ、地域のイノベーション人材育成と産業イノベーションの加速化を着実に前進させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.浜松地域の産業イノベーション現状調査:2018年度は、浜松を中心とする遠州地域のイノベーション事例を調査した。2019年度は、事例調査を元に、経営情報学会および日本情報経営学会で研究発表を行った。また、事例企業を勧誘し、経営情報学会で企業事例セッションを実施した(はまぞう、Drone & Company、浜松科学館などが参加)。また、同学会でのエクスカーションとして、イノベーション環境の先進企業であるROKI社の企業見学を企画実施した。 2.浜松地域の人材のあるべき姿の探究・ギャップ分析:静岡大学生活協同組合との協働による2018年12月の第1回の合同企業インターンシップフェア(17社参加)をブラッシュアップし、第2回の合同企業インターンシップフェア(「学生の学生による学生のためのインターンシップフェア」、20社参加)を10月末に開催した。 3.イノベーション人材育成プログラムの実行と評価: 静岡銀行の次世代経営者養成組織の静銀シップの協力により、2018年8月から10月に浜松市で行った土日6回の人材養成プログラムが、静銀シップから高く評価され、2018年11月から2019年2月にかけては静岡市にて開催し、2019年9月から2020年1月にかけては沼津市で8回実施した。 4.浜松地域のインキュベーションシステムのあるべき姿の検討・試行:金融機関2社、証券会社1社、FinTech企業5社にヒアリングを実施した。ヒアリング対象組織は、みずほフィナンシャルグループ、飛騨信用組合、大和証券、マネーフォワード、Tranzax、エメラダ、SBIソーシャルレンディング、ソラミツ。浜松地域のベンチャー企業の活動に関しても、継続的に調査を行っている。 全体として、本研究の成果を発表し、他の地域との討議を行う場として、6月の日本情報経営学会第78回全国大会(永吉大会実行委員長)、10月の経営情報学会2019年秋季全国研究発表大会(遊橋大会委員長、遠藤実行委員長)を静岡大学浜松キャンパスで開催した。
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今後の研究の推進方策 |
浜松地域には「やらまいか精神」に代表される独特の地域文化が育まれた歴史的背景がある反面、現在ではその地域文化は薄れつつある。また産業のグローバル化と経営者の世代交代への対応が遅れているという現状がある。われわれが探求してきた浜松地域のインキュベーションシステムは、教育・研究・社会貢献が三位一体となることによって実現される持続可能なエコサイクルの基盤である。 2020年度は、われわれがこれまで試行してきたイノベーション人材育成プログラムを完成させ、これをベースにインキュベーションシステムの実現に向けたロードマップを作成することを重点的に行う。 なお、グローバル化については、4月に本学に設立される「インドネシア・ビジネスマネジメント研究所」との連携を図り、産業界からのニーズに応えられる提言を行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的流行によって、国際会議や企業との連携活動がキャンセルとなった。残額は、研究発表の際の旅費として使用する予定である。
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