研究課題/領域番号 |
18K01754
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坂井 貴行 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (40539821)
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研究分担者 |
忽那 憲治 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (00275273)
井内 健介 徳島大学, 研究支援・産官学連携センター, 准教授 (20546337)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 経営学 / 産学連携 / 技術移転 |
研究実績の概要 |
我が国の大学等には,優れた科学技術の研究成果が多く存在するものの,多くの研究成果は商業化まで至っていない.大学等における産学連携・技術移転はイノベーション創出に極めて重要であると考えられており,科学技術の研究成果を産み出す「研究者」と研究成果の商業化の担い手である「産学連携実務者」の考え方,取り組み方はイノベーション創出可否の鍵になると考えられる.本研究では,研究成果の商業化に関わるステークホルダーである「産学連携実務者」と「理系研究者」とに着目し、日本において何が商業化の課題・制約となっているのか,その心的要因を明らかにし,更に欧州の分析結果と比較して我が国が抱える科学技術研究成果の商業化における問題点を明らかにすることを目的としている. 平成30年度は,産学連携実務者を対象に,Quadruple Helixモデルによる6Pマーケティングミックスを用いて大学等の研究成果の商業化に対する意識調査(アンケート調査)を行った.対象は日本の大学 の産学連携実務者,欧州の大学の産学連携実務者とした.これにより産学連携実務者が研究成果の商業化に対してどのような意識を持ち,何が商業化の制約になっているか,その心的要因の分析を行った.次に,上記回答者の中で,日本で高いパフォーマンス実績を有する産学連携実務者を20名程度抽出し,ヒアリング調査を行った.ヒアリングは,アンケート調査の詳細だけでなく,実務における具体的事例を基に,実務者が実際に行ったマーケティング活動全般について実施した.これにより,産学連携実務者の実績と大学等の研究成果の商業化に対する意識及び心的要因の影響との関連性を考察した.さらに,平成31年度に実施予定の理系研究者を対象としたアンケート調査に関する対象者のリストアップを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は,産学連携実務者を対象に,Quadruple Helixモデルによる6Pマーケティングミックスを用いて大学等の研究成果の商業化に対する意識調査(アンケート調査)を行った.アンケート調査では,日本国内16機関から60名,欧州18ヵ国から77名(計137名)の回答を得ることができ,日欧の産学連携実務者が研究成果の商業化に対してどのような意識を持ち,何が商業化の制約になっているか,その心的要因の分析を行うことができた.本分析成果の一部は,6th Asian SME conferenceにおいて発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は,理系研究者を対象に,平成30年度に実施した同様のモデル手法を用いて大学等の研究成果の商業化に対する意識調査(アンケート調査)を行う.研究代表者らとセゲド大学で作成した質問票を活用し,調査結果の集計とそれに基づく研究課題の深化を図るための議論及び分析作業を実施する.これにより理系研究者が自身の研究成果の商業化に対してどのような意識を持ち,何が商業化の制約になっているか,その心的要因を明らかにする.調査対象は日本の大学の理系研究者,欧州の大学の理系研究者とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は,物品費において,既存の備品を活用する等,効率化を図ることができた.平成31年度は,理系研究者へのヒアリング等と行うため,次年度使用額は,旅費等で使用する予定である.
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