令和4年度には、昨年実施した「ブレークスルー・イノベーションに関わる行動を促進する要因についての質問票調査」で得た、データの分析を行なった。本調査では、調査会社を通じて6429名に回答を依頼し,412名から有効回答を得た。データ分析では、ブレークスルーイノベーションに繋がる行動として、ディスカバリー、インキュベーション、アクセラレーションの3つを同定し、これらの行動を促進する人的資源管理手法を探索した。結果として、イノベーション関連能力を育成するための教育、およびイノベーション関連職務の明確な定義が、従業員によるイノベーション関連行動を促進することが明らかとなった。また、トップマネジメントがブレークスルーイノベーションを支援している場合に限り、報酬がイノベーション行動を促進するという調整効果も明らかになった。なお、ディスカバリー、インキュベーション、アクセラレーションの3つの行動は、実際のイノベーション実現とも結びついていることも示された。 これらの結果は,令和4年11月に米国で開催された国際学会「JPIM Research Forum」にて報告した。 研究機関全体を通しては、オープンイノベーション・ハブが様々な支援を提供するとともにインクルーシブリーダーシップを発揮すること、および人的資源管理システムを適切に設計すること(教育と職務設計、およびトップマネジャーの支援と報酬の組み合わせ)が、イノベーションを促進する要因として重要な役割を果たすことが明らかになった。これらの結果は、1本の学術論文、および1本の学会論文として報告した。
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