研究課題/領域番号 |
18K01758
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
田中 広美 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (50404819)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 臨床看護師 / レジリエンス |
研究実績の概要 |
看護師が勤務する病院で、看護師が抱える困難とその対処をテーマとして研修を企画した。 研修に先立ち、所属施設での研究倫理審査申請を行い、研修実施に備えた。しかし、臨床現場では新型コロナ感染対策の観点から施設外部者の立ち入りが制限されたため研修企画を実施するのが困難な状況となった。感染者が減少した時期に1施設のみ2回に分け感染対策を行いながら、21名の看護師を対象に実施することができた。1施設ではあるが、研修前後で任意による調査用紙への回答を依頼した(10段階)。その結果、研修前のストレスは平均7.61/10であったが研修後は6.66/10となり1ポイント減少した。レジリエンスへの興味は研修後に平均2.4ポイント上昇した。研修を受けることで対処の参考になると回答した看護師は平均7.47/10、メンタルヘルスに役立つと回答した看護師は平均8.76/10であり、研修が有効であることが示された。自由記載においては、多忙な時期に精神面が軽くなった。負の感情との向き合い方を学んだ、仕事を続けている自身を振り返ることができた、レジリエンスに興味を持つことができたなどの感想が記述されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、臨床現場での研修を企画していたが、新型コロナウィルス感染症対策感染予防対策により、2020年度の大半が臨床現場に外部者の出入りが禁止された。そのため、研修を実施することができなかった。また、臨床で働く看護師も例年通りの研修開催ができず軒並み中止となった。 本研究も、感染予防対策をしながらの研修変更を余技なくされた。 三密をさけ、参加者によるディスカッションや5感を刺激するような身体が物に接触するようなプログラムをなくし、講義と記述による研修に変更して実施した。 企画した研修を5施設で実施することを目標としたが、臨床現場に外部者の立ち入りが制限され、研修依頼を断念せざるを得ない状況にあり、十分な研究活動ができず成果を見出すことができなかった。また、オンラインと対面による教育活動に時間を取られ、研究活動に十な時間を割くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症への対応をしている臨床の看護師は、これまでに経験したことのない事象に直面し、いつ収束するかもわからない状況の中でかなり疲弊していることが想定される。そのような状況でメンタルヘルスに関わる本研究を企画実施する意義は大きいと考える。臨床現場の混乱が落ち着き、外部者の出入りが可能になった段階で、研修開催の打診を行う予定である。 臨床現場の受け入れ状況をみながら遂行する。また、感染対策の観点から、密をさけ、接触するようなプログラムからの変更を検討していく。 行動変容までは至らなくても、看護師が職務遂行上抱えている困難とそれを乗り越えるための対処とレジリエンスに関する知識の提供といった認知に働きかけることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は臨床現場での研修が予定通りに実施できなかったため、有効に経費使用ができなかった。今年度の研究開催に向けて、打ち合わせや研修のための交通費、研修に必要な機器消耗品の購入、教材作成、資料整理に関する人件費などにあてる。
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