研究課題/領域番号 |
18K01761
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
藤川 健 兵庫県立大学, 国際商経学部, 准教授 (50454484)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 基盤産業 / サポーティング・インダストリー / 技術経営 / 国際競争力 / 存立基盤 |
研究実績の概要 |
平成31年・令和元年度は、主にグローバルな規模での日本の金型産業に関するデータを整備し、日本の国際競争力を定量的に把握することを心掛けた。そして、その研究成果の一部を広く社会に発信した。詳述すれば、本年度は上記の研究上の関心に基づき、査読付論文1本(藤川健[2019]「金型産業における競争・分業構造ー東アジア競争優位の研究ー」アジア経営学会編『アジア経営研究』第25号)、及び学術図書2冊(藤川健[2019]「基盤産業における存立条件の変化」高田亮爾・前田啓一・池田潔編著『中小企業研究所説』同友館、藤川健[2020]「金型 技術革新のインパクト」塩地洋・田中彰編著『東アジア優位産業ー多元化する国際生産ネットワーク』中央経済社)を執筆した。また、関連する産業から金型の技術的な役割を歴史的に考察するため、自転車産業にまつわる報告書(藤川健[2020]「自転車産業が求める技術の変化」一般財団法人自転車産業振興協会『「自転車産業ビジョン」調査研究事業 2019年度報告書』)も担当した。上記の研究成果を通じ、本年度は対象とする産業単独で競争力を把握するだけに留まらず、サポーティング・インダストリーを利用する産業、金型産業以外のサポーティング・インダストリーに属する産業と比較・検討することにより、金型産業の多面的な競争力に関する指標を把握することに努めた。さらに、他の産業研究者と競争力についてのディスカッションを交わすことにより、金型産業の競争力を相対的に見る分析視角を養うことができたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成31年・令和元年度は、①グローバルな規模での金型産業に関する定量的なデータを整備・捕捉し、その知見を活かして②各国の金型製造企業(関連する企業・支援する機関を含む)に対する定性的な聞き取り調査へと移行する予定であった。しかしながら、新型コロナウィルスの影響もあり、上記の①は査読付論文や学術図書の執筆を通じて概ね成し遂げられたが、②を実施することが困難な状況であった。そのことが本年度の研究課題の進捗状況の遅れへと繋がった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、平成31年・令和元年度に予定していた各国の金型製造企業・関連企業・支援機関に対するフィールドワーク、並びに令和2年度に計画していた補足調査を併せて行う。ただし、コロナウィルスの影響や時間的な制約から、聞き取り調査を実施することが困難な状況も予想できる。その際には、研究課題に関係する経営学や経済学の領域(国際経営論、産業分析論、技術経営論、中小企業論など)の文献を検討し、研究活動を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成31年・令和元年度は、①グローバルな規模での定量的なデータを整備・捕捉と、その知見を活かして②各国の金型製造企業(関連する企業・支援する機関を含む)に対する定性的なフィールドワークを行う予定であった。しかしながら、新型コロナウィルスの影響もあり、上記の②を実施することが困難な状況になった。そのことが本年度の旅費で予定していた予算が執行できなかった理由である。 令和2年度は、平成31年・令和元年度に予定していた各国の金型製造企業・関連企業・支援機関に対するフィールドワーク、並びに令和2年度に計画していた補足調査を併せて行う予定である。しかしながら、コロナウィルスの影響により、現時点では聞き取り調査のアポイント先も含めて再検討する必要がある。そのような状況下において、今年度は、研究課題に関係する経営学や経済学の領域(国際経営論、産業分析論、技術経営論、中小企業論など)の文献研究を中心に行うため、図書の充実を図る。ただし、ZOOMなどのICTを活用した企業調査も並行して行うため、通信機器等の円滑に調査を行う環境を整備するための設備の購入も検討している。
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