研究課題/領域番号 |
18K01762
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
佐脇 英志 都留文科大学, 教養学部, 教授 (20780985)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本人起業家 / スタートアップ / アントレプレナー / 国際経営 / アジア / イノベーション / ネットワーク / グローバル |
研究実績の概要 |
2021年度は、2018~2020年度の研究の情報的基盤をもとに、さらに数多くの日本人起業家と面談した。日本、世界の経営環境の違うところで、どのような面で苦労して事業を立ち上げてきたか、ビジネスチャンスと脅威を明確にした。特に今年は、去年に引き続きコロナ2年目ということで、コロナ禍に対し事業転換などの積極的な対策を打てたかどうかを検証した。ここでは起業家の重要な要素であるイノベーションの見地から分析を行った。すなわち、イノベーション理論を使って起業家がどのようなイノベーションを起こして起業に至ったかを分析した。起業家は、どのような機会「7つの機会」(ドラッカー1985)を活かして起業に繋げているか、また、何の、どのようなイノベーションを引き起こしたかについて、「5つの類型」(シュンペーター1977)を使って分類し分析した。さらに「新興国Startupの3つのイノベーション」(①タイムマシーン経営②ピボット戦略③リープフロッグ戦略)の観点からも分析を試みた。この中でも、Pivot(事業転換)に焦点を当てて研究を行った。 彼らの行ったピボットを分析する上で、Riesの「10タイプのピボット」が有益であり、タイプ別に分けて分析を行った。 さらに、ミャンマーでは、2021年2月1日、軍部による軍事クーデターが発生したが、この混乱の中で、大半の日本人が国外へ脱出しているが、まだ負けずに頑張っている日本人起業家達がいた。彼ら7人にインタビューした。海外でビジネスを行うにあたって、コロナ禍、クーデターのような想定外の事態が起こることは十分あり得る。このような最悪の事態に対しても、決して諦めることなく、常に前向きに、次々に施策を繰り出していく起業家から、ビジネスに賭ける気迫をまざまざと見せつけられた。Zoomにおける面談者は、23人である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究、「東南アジアの日本人起業家の実証研究」の研究概要(4年間)は、4年間で、9か国62社62人の起業家を対象に、3つの主題(①イノベーション、②問題解決、③ネットワークと学習)について、調査研究し、新しいビジネス潮流を 明らかにし、一般化を試みるものである。これに対し、本年度は、2020年度に引き続き、コロナ禍により全く海外に出張調査に行くことができなかった。但し、2018年、2019年に海外出張で精力的に活動をすることにより、既に、71人の在ASEAN日本人起業家との面談を行ったため4年間の計画に対し、既に115%達成率となっている。さらに、2020年度も上記のように、Zoomにて海外日本人起業家のインタビューを実行し、2021年度もZoomによる海外日本人起業家のインタビューを続けた。但し、本件は数だけの問題ではなく、足を使って多くの日本人起業家に会い新しい発見を得ることを志向し、研究にさらに深みを加えなければならない。これにより、より深い、学術的貢献、社会に対する貢献をすることができる。
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今後の研究の推進方策 |
上記、2020年度、2021年度のZoomインタビュー先に対し、実際に訪問することによりフォローアップ調査を行う。 ①人数に関しては、さらに多くの日本人起業家とインタビューをすることにより研究を深める。 ②インドネシア、マレーシア、ラオス、ミャンマーに関する調査を行う。 ③学会発表、論文、出版等を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度、2021年度においては、コロナ禍によって、海外出張ができなくなり、海外日本人起業家とのリアルでの面談ができなくなってしまった。2022年度においては、今までZoomインタビューした海外日本人起業家をまわり、フォローアップインタビューを行い。研究の精度を上げる。
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