研究課題/領域番号 |
18K01764
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中西 穂高 帝京大学, 産学連携推進センター, 教授 (00567399)
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研究分担者 |
松村 茂 東北芸術工科大学, デザイン工学部, 教授 (80239079)
小豆川 裕子 常葉大学, 経営学部, 准教授 (00633843)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | クラウドソーシング / 企業経営 / 経営戦略 / 生産性向上 / 大企業 / 経営資源 |
研究実績の概要 |
研究第2年目として、前年度予定していた調査項目を確定し、クラウドソーシングの企業における活用状況の調査を実施した。 クラウドソーシングに関する海外での既存研究、国内の調査事例、国内有識者からのヒアリング等を踏まえ、41問よりなる調査項目を設定した。その上で、全国20歳から69歳の男女で就業者1010名を対象にインターネット調査を実施した。得られたデータをもとに、クラウドソーシングの利用理由と成果を、生産性の向上、コスト削減、変動への対応の4つに分けて分析した。 その結果、企業規模、事業内容によるクラウドソーシングの実態について明らかになった。具体的には、半数以上の企業がクラウドソーシングを導入する理由として生産性向上と経営資源の調達をあげ、その効果を認識していた。一方、コスト削減を理由にクラウドソーシングを導入する企業は3分の1程度にとどまっていた。企業の規模別にみると、大企業の方が生産性向上を重視してクラウドソーシングを導入していた。また、大企業は中小企業よりも労働時間短縮のためにクラウドソーシングを導入する割合が大きく、働き方改革にクラウドソーシングを利用していた。事業の種類でみると、新規事業では主要事業に比べて、生産性向上とコスト削減をクラウドソーシング利用の理由とする企業の割合が多かった。 以上より、クラウドソーシングは、大企業を中心に形成戦略の一環として利用されていることが明らかになった。この研究成果は国際会議に投稿すべく論文としてまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、クラウドソーシングの利用実態を踏まえて調査項目の修正を行ったため進捗が若干遅れたが、今年度に入り研究分担者と検討を重ね、必要な調査項目を決定することができた。こうして決定した調査項目でインターネット調査を活用し、1000件を超える有効な統計処理を行うのに十分なデータ数を確保した調査を実施することができた。このため、昨年度の遅れは取り戻している。 これまでに、得られたデータの解析を進めているところであり、おおむね順調に進展しているといえる。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、多くの学会、国際会議が中止になるなど、今後は予定している発表の場が限定される懸念が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、クラウドソーシングの利用理由と成果について、企業規模と事業の種類のそれぞれの項目ごとに経営資源の調達、生産性の向上、コスト削減、変動への対応について分析した。今後は、調査項目のうち分析がまだ行われていない、クラウドソーシングの活用、発注者に求められる条件、ワーカーに求められる条件などについて分析を行っていきたい。これにより、クラウドソーシングが活用されるための条件がより明確になるものと考えている。 現時点では、新型コロナウイルスの影響で、予定していた学会や国際会議が中止、延期、縮小されるなどの事態が発生しているため、特に研究内容に関するディスカッションを十分に行うことができるよう工夫していくことが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に予定していた企業、フリーランスへのヒアリング調査のための出張が新型コロナウイルスへの対応のため延期したことにより、旅費の支出が後ろ倒しになっている。
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