研究課題/領域番号 |
18K01768
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
馬場 敏幸 法政大学, 経済学部, 教授 (00359663)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ブラジル / 金型産業 / サポーティング産業 / 裾野産業 / 自動車産業 / グローバルサプライチェーン / 産業集積 / 経済地理 |
研究実績の概要 |
2018年度は科研調査の初年度で、本科研申請のベースとなった研究のとりまとめと学会報告、および2019年度のブラジル現地調査のためのネットワーク構築を行った。研究成果発表では2018年6月にブラジルサンパウロ大学で開催された自動車学会(GERPISA)で、これまでのブラジルでの金型産業の研究成果として” Progress of the dies and molds industry and the role of the German immigration network in Brazil: Case studies in ABC districts in Sao Paulo, Resende, and Joinville”を発表した。ブラジル金型産業の形成と発展段階、地理的広がり、技術蓄積などについてまとめた内容である。ブラジルの金型産業に関する英語論文はあまり見あたらず、研究意義は高いと考えられる。 この論文で需給構造から見たブラジルの金型産業は需要サイドの要求する金型を質、量共に供給できていない状態であり、この状況は貿易統計分析によってその実態を明らかとした。しかし、ドイツ人移民都市であるJoinvilleを中心とするブラジルの新興金型企業群は、その現状を踏まえ、技術的課題にとりくみ、質的向上に努めていた。現地調査に基づくと、Joinvilleでは中核企業のスピンオフとして金型企業が誕生し、地域集積とドイツとの移民ネットワークを活用することでブラジルの金型産業発展に取り組む状況を明らかとした。2019年度はブラジル金型産業の中核都市であるJoinvilleを再訪し、さらに深く調査を行いたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度(2018年度)の計画はこれまでの研究で得た知見を論文にまとめ、ブラジルサンパウロ大学で発表することであり、計画通り発表を行えた。この研究報告によりブラジルの自動車・金型研究者との研究ネットワークが構築でき、ブラジル金型工業会メンバーとのネットワーク強化を行うことができ、おおむね計画通り順調な進捗であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度(2019年度)は9月にブラジル南部の金型集積であるJoinvilleを訪問調査する計画である。これまでの調査からJoinvilleは、町の成立にドイツ人移民が深く関わっていることが判明している。この集積の金型技術はドイツからの技術移転が核ではないかと考えており、企業訪問でドイツ流の金型製作が行われているか観察したい。またこの地域には大手鋳物会社、金属食器メーカー(現在は倒産)があった。申請者はこれらの企業の金型製作・使用・メンテナンス・外注・スピンアウトが、この地域の金型産業の発展に大きく関わったのではないかとの仮説を持っており、この点についても調査で明らかにしたいと考えている。
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