研究課題/領域番号 |
18K01769
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研究機関 | 千葉経済大学 |
研究代表者 |
近藤 光 千葉経済大学, 経済学部, 講師 (10762148)
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研究分担者 |
宮田 憲一 明治大学, 経営学部, 助教 (00782351)
坂本 旬 東日本国際大学, 経済経営学部, 講師 (80803296)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コンテンツ産業 / メディアミックス / 産業の共進化 / 企業間関係 / 消費文化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本のクリエイティブ産業/創造産業の中核を担う(1)ゲーム産業、(2)アニメ産業、(3)マンガ産業における企業のメディアミックス戦略と事業多角化に焦点を当て、戦後から現在に至るまでの展開と企業成長、そして3つの産業の共進化のメカニズムを明らかにすることである。2018年度においては、各研究者が担当する産業に関する研究で得た資料と情報を整理蓄積し、次期の研究の土台形成に努めるとともに、定期的に研究会を開くことで情報の共有を進めた。また、国際学会での報告を通じて、海外の研究者と活発な議論を展開することで、国際的な学会誌への投稿も視野に研究を進めてきた。 (1)ゲーム産業については、ポケットモンスターを事例として、任天堂を中心としたメディアミックス戦略について研究を進めた。これはEBHA(ヨーロッパ経営史学会)における国際学会報告(2017年8月)をベースに論文執筆を進めているものである。 (2)アニメ産業については、今年度「機動戦士ガンダム」を取り上げ、メディアミックス展開を進める上での企業間関係について考察した。この研究では、アニメブームを生み出すメカニズムを探究することによって、20世紀後半の日本における経済と新しい消費文化の統合における企業の役割を分析した。また、本研究からの発展として、コンテンツ産業における「バンダイ」の役割に注目した論文を2019年度に向けて執筆中である。 (3)マンガ産業については、2019年8月に予定されている国際学会(EBHA)に向けて、小学館のメディアミックス戦略についての研究を進めた。本研究は小学館のケースを通じて、日本の出版社が日本のクリエイティブ産業の発展においていかに中心的な役割を果たしたのかを明らかにするものである。2019年3月にEBHAでの報告が受理された。次年度は報告と論文化のために更に研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は文献調査を中心に研究を進めた。文献整理を通して、対象企業の設立からの基本的な歴史に加え、新規事業参入による多角化などの企業戦略、対象となる各産業の発展の歴史を比較検討することができた。 その成果の一部を2018年9月にはEBHA(ヨーロッパ経営史学会)の大会(アンコーナ、イタリア)において、「The Role of Middlemen in Creative Industries as Story Sellers: Mediamixing Mobile Suit Gundam during the 1980s in Japan」として報告を行う機会を得た。 また、2019年8月に開催されるEBHAの大会において、マンガ産業に関する研究成果を発表することが確定しているほか、研究代表者・分担者ともに各自のテーマに基づいて論文の作成を進めているなど、当初の計画に沿っておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では研究代表者が「ゲーム産業」を、そして分担研究者が「アニメ産業」「マンガ産業」を主として担当している。研究の目的は、日本のクリエイティブ産業/創造産業の中核を担うゲーム・アニメ・マンガ産業における企業のメディアミックス戦略と事業多角化に焦点を当て、戦後から現在に至るまでの展開と企業成長、そして3つの産業の共進化のメカニズムを明らかにすることである。今年度においても、前年度までの成果と議論を受けて研究を進める。 ゲーム産業とアニメ産業については、国際学会での発表をベースに論文執筆を進めていく予定である。特にゲーム産業においては、ポケットモンスターを中心としたメディアミックス戦略について考察を深め論文を執筆する。また、日本のコンテンツ産業にとって重要となるバンダイ(およびバンダイナムコグループ)に着目し、同社の歴史と戦略について研究を進める。 マンガ産業については、2019年8月にEBHA(ヨーロッパ経営史学会)において、「Demand Pulls Capabilities in Shogakukan: Growing a Domestic Publisher into a Global Media Mixer via Manga Industry」と題して、小学館グループを中心に報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英語論文の投稿にかかる英文校正のための費用を計上していたが、投稿が次年度に持ち越されることになったため次年度使用が生じた。次年度の論文投稿の際の英文校正費用として使用する計画である。
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