研究課題/領域番号 |
18K01778
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中川 涼司 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (30198048)
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研究分担者 |
苑 志佳 立正大学, 経済学部, 教授 (00308123)
守 政毅 立命館大学, 経営学部, 教授 (00434704)
楊 秋麗 京都橘大学, 経営学部, 准教授 (70531664)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国 / 多国籍企業 / グローバル企業 / ASEAN / 自動車市場 / 映画産業 / 大連万達集団 / レジェダリー社 |
研究実績の概要 |
本研究に直接かかわるものとしては以下のものがある。苑志佳は中国自動車企業の対ASEAN進出を中心に以下の研究を発表している。①「中国多国籍企業の対ASEAN直接投資の特徴―タイ・マレーシア・インドネシアに進出した中国自動車企業を中心に―」立正大学『経済学季報』第71巻第1号、2021年8月5日、1~37頁、 ②「ASEAN家電市場における中国多国籍企業の現地生産の特徴」立正大学『経済学季報』第71巻第3号、2021年12月23日、1~28頁、③「中国企業の東南アジア進出と現地産業・技術への影響――中国型多国籍企業の特徴――」『中国の双循環(二重循環)戦略と産業・技術政策―アジアへの影響と対応』科学技術振興機構編(ウエブブック)、第7章、2022年4月~5月頃に公開。またこれらをもとに明治大学での「特別講演 日中ビジネスの最前線」として「中国型の多国籍企業」2021年11月15日の講演も行った。また、中川涼司は中国文化産業の多国籍企業化に着目し、「大連万達集団(ワンダ・グループ)の国際展開とレジェンダリー社買収の意味 : 中国文化産業多国籍企業の発展」『立命館国際研究』第34巻第2号、1-33ページを公表した。また関連業績として苑志佳は中国自動車産業のEV化やそれに伴う産業構造の変化についても考察を進め、論文を2本発表、2回の学会報告も行っている。中川も関連業績として、発展途上国の開発問題とSDGsに関わってと、米中関係の現段階に関して、それぞれ本の1章として発表した。2020年度の学会共通論題報告をベースにした中国経済の「窓」としての香港、台湾の機能変化についても学会誌にフルペーパーを発表している。楊秋麗と中川涼司は中国化粧品市場の変化と資生堂の対応についての学会共通論題報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
苑志佳が中国自動車産業の対ASEAN進出についての研究を進め、2014年に単行本として出版した『中国企業対外直接投資のフロンティア』創成社の発展を行った。同書における後発国型多国籍企業の具体的なあり方を中国企業の対ASEAN進出を通じてとらえようとするしたものである。 また、中川は2008年に東京大学丸川知雄との共編でこの分野の先駆的業績ともいえる『中国発・多国籍企業』同友館を出版した。その後の研究では、中国は自国と同等ないし自国よりも経済発展が遅れた国に対しては、ハイマー以来の伝統的な多国籍企業が適応可能であり、自国よりも進んだ国に対してはダニングらが提唱した創造性資産獲得/戦略的資産獲得論が適用しうるとしてきた。2020年度は中国繊維産業等の対カンボジア進出を事例に前者を分析し、2021年度は変わって文化産業を中心、とくに大連万達集団によるレジェンダリー社の買収を事例に後者の分析を行ってきた。 残念ながら守の中国多国籍企業の受け皿としての華人ネットワークについては2021年度は業績を発表できなかった。また、楊秋麗は中国企業というよりも中国化粧品市場に着目した研究を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は延長した最終年度とする予定であり、まとめに入る。 苑志佳は中国自動車産業の対ASEAN進出を中心にその意義について総括する。 中川は中国文化産業のうちでもアニメ産業などにも着目し、創造性資産獲得理論などの有効性について検証するとともに中国が中所得国として進出先別に多国籍企業の論理が異なっていることを全体として明らかにする。 守は中国多国籍企業の受け皿としての華人ネットワークについての研究をまとめる。 楊秋麗は中央企業の海外進出に関して、とくに中国石油産業の新エネルギー対応についての研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナのために中国および中国企業の進出先の現地調査を行うことができなかったので、2022年度に可能であれば現地調査を実施するため。
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