研究課題/領域番号 |
18K01780
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
杉浦 淳 大阪工業大学, 知的財産研究科, 教授 (90758814)
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研究分担者 |
三浦 武範 大阪工業大学, 知的財産学部, 准教授 (30736468)
杉山 典正 大阪工業大学, 知的財産学部, 准教授 (90368150)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 知的財産経営 / 産学連携 / 共同研究 / パテントマップ / 中小企業 |
研究実績の概要 |
アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスの大学及び研究機関7箇所を訪問し、産学連携の体制、現状について、研究者及びリエゾンオフィススタッフを対象に、ヒアリング調査及び資料収集を行うとともに、日本の地域中小企業を中心とする産学連携活動及び活動成果としての知的財産の取り扱いに関する比較検討を行った。 また、地域中小企業の潜在的ニーズ把握の手法についての検討会を実施した。狭義の知的財産のみならず、広義の知的資産に関する評価やオープン・クローズ戦略、技術標準化戦略等を含めた中小企業の知的財産経営モデルについて検討し、地域中小企業経営者とのディスカッションを行っている。他方で、研究代表者及び分担者の所属する大学の工学部や情報科学部の研究者及び産学連携部門の実務担当者からは、地域中小企業の製品開発あるいは製造技術の高度化及び事業変革に資する技術シーズの有無につきヒアリングを行い、ニーズとシーズのマッチングシステムに関する検討を行った。その際、地域中小企業の潜在的ニーズ把握とテキストマイニングによる技術シーズマップ作成の試行を行い、中小企業のイノベーション支援、知的財産経営支援に適したシーズマップの構成及び知的財産経営サポートモデルの枠組みについて検討を行った。 さらに、WIPO(世界知的所有権機関)のASEAN産学連携専門人材育成事業と協働して、産学連携に関わる実務経験のある東南アジアからの研修生に対する意識調査や知的財産戦略に関するセミナーを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域中小企業の潜在的ニーズ把握とテキストマイニングによる技術シーズマップ作成については、地域中小企業の経営者とのディスカッションを行い、潜在的ニーズ把握の方法について検討中である。 海外調査については、研究分担者の実施する他のプロジェクトと併せて実施し、米国及び欧州の大学、研究機関を訪問した。その際、地域中小企業との関わり、産学連携をシステムとして実践する意識について、重点的にヒアリング調査を行った。 知的財産経営モデルの構築に関して、中小企業のイノベーション支援を適切に行えるモデル構築について研究分担者相互による検討会を5回実施した。 WIPO(世界知的所有権機関)のASEAN産学連携専門人材育成事業との連携では、2018年6月から9月にかけて、東南アジアから派遣された産学連携専門人材に対して、産学連携のあり方や降下に関するセミナーとディスカッションを実施し、統合モデル構築の基礎となるデータを収集した。 以上により、当初の研究実施計画で初年度に実施予定の研究内容は概ね実現することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き国内および国外の研究機関等における産学連携、地域連携活動の実情に関する調査を行い、モデル化を試みる。とりわけ、中小企業のイノベーション支援に果たす大学の役割について、明確なモデルを構築した上で、地域中小企業の協力を得て指向を行う予定である。海外調査については、明確な比較モデルとなり得る地域について再検討して、地域及び調査対象の組織を選定する。また、本年度もWIPOのASEAN産学連携専門人材育成事業との連携によるセミナーとディスカッションを実施する。地域中小企業を対象とした調査を引き続き実施するとともに、テキストマイニングによる技術シーズマップの作成にも取りかかる。 以上を総合して、ニーズとシーズのマッチングによる事業化を実現する知的財産経営モデルの構築と実証に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査については、研究代表者、分担者の全員が関与する他のプロジェクトと共同で実施したため、本プロジェクトにおいて派遣旅費が発生していない。また、データ入力等の人件費については、研究代表者、分担者が各自で実施したため、発生しなかった。これらは、令和元年度の海外調査で使用する予定である。
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