研究課題/領域番号 |
18K01789
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
吉森 賢 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 名誉教授 (20182834)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | カリスマ経営者 / 企業統治 / 世代交代 |
研究実績の概要 |
これまで研究代表者は、海外の同族大企業(ドイツとフランス)を中心に研究を進めてきた。特にドイツには多様な法的形態が同族企業により採用されている。その多くは公益財団を有し、これが設置企業の統治に重要な役割を果たすことが分かっている。本研究は、日本の同族大企業に焦点を当てて、カリスマ経営者の貢献と世代交代の実現に関して議論する。 カリスマ経営者が国民経済において果たす影響力は日本のソニーと本田技研を見れば明らかである。ドイツにおいてもフォルクスワーゲン社とポルシェ社の発展はカリスマ経営者の貢献なしでは考えられない。 カリスマ経営者の支配する企業の企業統治はこの種の経営者の下記の性格により一般的な企業統治による規則の機械的適用は困難である。①自己が育てた会社との心情的一体化と社長・会長職への長期的在任の固執 ②分身としての企業の永続化 ③後継者育成と後継者決定の欠落 ④自信過剰による実力以上の経営行動 ⑤独断的意思決定と権限移譲の欠如 ⑥自己拡大による規則無視 また、企業統治によるカリスマ経営者の社長職・会長職の選任・退任の円滑化 会社の発展に例外的な貢献をしたカリスマ経営者の会社への愛着と一体化を尊重しつつ会社における世代交代を実現する手段として、下記が明らかとなった。① 代表取締役社長と取締役会会長の原則的定年の規定と会社との接触維持 ② 社長の選任、再任、解任の条件の事前的明確化 ③ 人事は機関決定とする ④ 信頼できる相談相手の確保 ⑤ 社外取締役とカリスマ経営者 ⑥ 現場管理者、従業員との部門別研修会による問題解決の検討 ⑦ 従業員満足度調査
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カリスマ経営者の性格と、世代交代の手段について考察を行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
ドイツ、フランスにおける技術者高等教育の比較に関する研究を開始する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス流行により、学会出張や企業訪問ができなかったため、次年度使用が生じた。2022年度は、研究計画を執行するための出張や資料収集に使用する予定である。
|