研究課題/領域番号 |
18K01790
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
堀籠 崇 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (80547357)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域包括ケア / Community Based Care / Integrated Care |
研究実績の概要 |
2018年度における当初の研究計画は以下の2点である。 第1は,我が国における、Integrated Community Care System(以下,ICCS)の源流とされるエリア(広島県尾道市および岩手県西和賀町(旧沢内村)を対象とした,ICCSの構造・各サービス提供主体の役割(主導性)・具体的な活動状況,以上に関するフィールドワークである。第2は,ICCSのベースとなる2つのコンセプト(Community based care/Integrated care)の整理およびその統合化に向けた議論の整理(文献調査)である。 前者に関しては,フィールドワークに入る前段階において,各自治体の医療・福祉政策に関する資料および先行研究を渉猟し,フィールドワークを行う準備は完了したものの,日程調整の関係で困難が生じたことから実際の調査は次年度に延期することとした。後者に関しては,①『病院管理』(1964-2007),②『病院管理研究所年報』(1962-1990),③『病院管理研究所紀要』(1973-1990),④『全日本病院管理学会雑誌』(1963-1974)掲載論文の書誌データから,我が国におけるICCSに向けた議論形成の展開に関わるデータベースを作成中であり,現時点で①は完了している。残り3誌については,2019年度7月までの完成を目指し作業を継続中である。また,Integrated careに関する先行研究の整理・検討の結果,ICCSを重層的かつ多面的にとらえる必要性を認識するに至り,「医療イノベーション」「社会的ネットワーク論」「ソーシャルキャピタル」「内発的発展の論理によるまちづくり」等の理論を組み込むべく,調査・検討を進めている。 なお2018年度における研究成果の中で未公表のものについては,2019年度における学会報告や論文公表の形で外部に発信していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究計画の達成状況は,60%程度であると自己評価している。その理由は以下のとおりである。 先行研究の理論整理および検討についてはおおむね順調に進んでいる。ICCSに関する先行研究の整理と検討については一通り完了し,2018年12月の研究会で報告済みである。また当初予定していなかった,我が国におけるICCSに向けた議論形成の展開に関わるデータベースの作成にも着手し,こちらも順調に作業が進んでいる。 他方で,当初計画していた,2つのエリアを対象としたフィールドワークに向けた準備は完了したものの,実施へと至らなかった。日程調整の面で困難が生じたためである。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度においては前年度において残された課題である,2つのエリアを対象としたフィールドワークを実施する。あわせて,当初計画において予定していたICCSにおける先進的取り組みを進めているエリア(長崎県,山形県)を対象としたフィールドワークも実施する。 また,同時にICCS構成要素について抽出・整理し,それに基づいて2020年度に予定しているアンケート調査の質問紙の作成を行う。また,我が国におけるICCSに向けた議論形成の展開に関わるデータベースの作成を7月を目途に完成させ,テキストマイニングの手法を用いた分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では,2018年度中に2つのエリアを対象としたフィールドワークを実施予定であったが,実施に至らなかったことが次年度使用額が生じた主な原因である。その理由は日程調整に困難が生じたことによる。次年度使用額によって,2018年度に未実施のフィールドワークを実施する。 また,医療法人の事業報告書データベースによって,対象エリアに所在する医療機関の経営分析が可能であることから,それらデータ入手費用に充てることも予定している。
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