研究課題/領域番号 |
18K01790
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
堀籠 崇 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (80547357)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域マネジメント / ソーシャル・イノベーション / 内発的発展 |
研究実績の概要 |
2020年度における当初の研究計画では,昨年度までに積み残していた,広島県,岩手県,長崎県,山形県におけるフィールドワークの実施と,ICCS構成要素についての抽出・整理,およびそれに基づいて実施を予定していたアンケート調査にかかる質問紙を作成する予定であった。しかしながら,2019年末からの新型コロナウイルス感染症の影響により,県境をまたいだ移動の制限等によって,当該フィールドワークは中止せざるを得なくなった。 他方で,ICCSに「医療イノベーション」「社会的ネットワーク論」「ソーシャルキャピタル」「内発的発展の論理によるまちづくり」等の理論を組み込んだ調査・検討は昨年度から引き続き進展し,その成果は学会等を通じて順次公表してきている。 また,わが国の地域医療体制の内部で生じつつある「まちづくりとしての地域医療システムのRedesign」と「地域創生の手段としての医療イノベーションの創出」という2つの方向への動きの意味についての分析に着手し始めた。その中で,地域医療課題解決に向けての動きを捉えるにあたり,ソーシャル・イノベーション分野で近年注目を集めているCollective Impactのフレームワークを活用することが有用であるとの目処がたち,「地域経営」の視点からICCSを捉える方向に研究の方向性を転換しつつある。 地域課題の解決に向けた従来の学問的視座には,2つの大きな潮流がある。1つは比較社会学や経済開発論から生み出された内発的発展論といわれる系譜,いま1つはSocial Innovationの系譜であり,社会全体をどのようにして根本から変えていくかという視点で地域課題を捉えるものである。今後これらの研究の整理を通じ,そこに通底する視点と内包する矛盾,課題について明らかにするとともに,地域医療課題解決に向けたICCSのあるべきモデルを探究する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
蔓延する感染症の影響から,フィールドワークの実施が不可能となったため。今後は地域医療の厳しい現状を踏まえ,研究計画を大幅に変更して,研究対象エリアにおける医療機関の事業報告書等を用いた分析に切り替えることを検討しているが,その場合でも当初の研究目的は十分達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
既述の通り,大幅な研究計画の変更を視野に入れているため,急ぎデータの入手に着手したい。なお,まとまったデータの入手経路は既に特定しており,調整を進めている。10月までにはデータの入手からデータクレンジングまでを終え,その後研究協力者の支援のもとデータの分析にあたる予定であり,協力依頼もすでにおこなっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,2019年末より拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により,当初予定していたフィールドワークの実施が困難となり,状況を見定めるために当該事項について予定していた分の支出を控えていたためである。 2021年4月現在,新型コロナウイルス感染症は一向に収まる気配を見せていないため,当初の予定を変更し,2021年度は研究対象エリアでのフィールドワークに替えて,当該地域における医療機関の事業報告書を中心とした分析へと研究方針を切り替え,これに伴って助成金は当該資料の入手にかかる費用へと振り分ける予定である。
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