本年度は研究の総仕上げとして、邦銀の国際展開の現状分析を行った。研究の申請時にはインドでの現地ヒアリング調査を複数回行う予定をしていたが、コロナウイルス感染症拡大によって残念ながら現地調査は1回のみしか行えなかった。本年度まで延長し、機会をうかがっていたが諸々の要因により実現できなかったため、入手可能な資料からの分析となった。主にインド準備銀行のペーパーおよびデータベースの利用をして邦銀の現状、特に2010年代の活動状況についての変遷を追った。 その際に利用したのはインド準備銀行の"STATISTICAL TABLES RELATING TO BANKS IN INDIA"が最たるものであるが、それ以外にもインド準備銀行には様々な金融データがあり、それらからインドにおける邦銀を取り巻く状況などについて整理を行った。その成果は、前年度の論文「2010年代のインドにおける邦銀の活動状況(1)」の続きとなる、「2010年代のインドにおける邦銀の活動状況(2)」を学内紀要に発表した。 それ以外にも、現代の銀行業に大きな影響を与えているデジタライゼーションに関してもインドに置ける状況を整理し、銀行業の位置付けを考えるという研究も行った。銀行業を含めて考えるため、研究の方向性としてはフィンテックを取り巻くエコシステムの分析という形になった。これらは2件の学会報告(日本金融学会、証券経済学会)という形で成果を出した。 その他、市民向け講座等も実施し、社会への還元も行っていった。
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