研究課題/領域番号 |
18K01796
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
陳 俊甫 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (30513733)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | サービタイゼーション / サービス志向 / サービス開発 / サービス展開 / サービス戦略 / サービスパフォーマンス |
研究実績の概要 |
2019年度は本研究期間の2年目にあたる.2年目の研究目標は,初年度の研究結果を踏まえたうえで,サービタイゼーション(製造業のサービス化)の実態を調査し,その構造分析を行うことである。具体的には,サービタイゼーションが市場の成熟化と製品のコモディティ化から脱却するための戦略として広く認識されているものの,ある企業はその取り組みに成功し他の企業がつまずき撤退する羽目に陥ってしまったのはなぜなのかについて,日本の製造業を中心に調査し,そのサービタイゼーションのプロセスの実態を明らかにすることである. これに対して2019年度においては,日本の一般機械器具製造業(TDB産業分類中分類35)の上位20%の企業(年商80以上)を対象とするサーベイ調査を実施した.調査から得られたデータを用いて,関連企業のクラスター分析をおこなった上で,各クラスターが提供するサービスの種類,サービス化の実施程度と達成程度,およびそれぞれのサービス化への認識・理解と実際の取り組み状況を確認し,サービタイゼーションの実態把握に努めた.そのうえ,探索的因子分析と重回帰分析をおこない,サービス化の取り組みパターンとサービス化の結果の関係を検証した.また「サービスありき」の視座でなく,製造業者間の差異をサービタイゼーションの中心に据え,製造業のサービス化プロセスの内実を明らかにすべく,重回帰モデルを構築し,製造業者間に潜在するサービス志向の温度差,サービス志向とサービタイゼーション戦略の整合性,およびそれにともなうサービスタイプと企業パフォーマンスの関係性などの検証もおこなった.現在ではこうした検証の結果を整理しながら論考をまとめ,学術論文誌やジャーナルへの投稿に取り組んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画にあるとおり,製造業におけるサービタイゼーションの実態調査を実施したうえ,幾つかのモデルを構築し,サービタイゼーションの構造分析をおこなった.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は本研究の最終年度にあたり,研究の総括が必要になる.最終年度の目標は,これまでの研究結果を踏まえたうえで,調査対象とする製造業の分類を増やした追加サーベイ調査や特定の製造業者に対するインタビュー調査をおこない,分析モデルをより洗練されたものにすることと,サービタイゼーション戦略のメカニズムの解明とその理論的拡張を試みることである.
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