研究課題/領域番号 |
18K01798
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岡本 隆 愛媛大学, 社会共創学部, 教授 (50314943)
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研究分担者 |
水谷 直樹 岡山理科大学, 経営学部, 准教授 (30330533)
八ッ橋 治郎 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (60325355)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 越境EC / 消費者行動 / フリマアプリ / B to C-EC |
研究実績の概要 |
本研究では,企業・個人間電子商取引(EC)や個人間のECが消費者のネット購買行動や越境ECに与える影響を明らかにすることを目的としている.19年度は日本の消費者の個人間ECに対する認識と重視度,日本や周辺諸国の越境ECの現状と国内ECおよび越境ECに対する消費者の認識と購買行動の把握,地方でECや越境ECに取り組む事業者からの情報収集に取り組んだ. 消費者のECに対する購買行動や認識や重視度については,日本全体の20歳以上の幅広い年齢層を対象に,フリマアプリでの商品購入の重視度および日本国内ECと越境ECに対する認識に関するアンケート調査を行った. フリマアプリは主にスマートフォン経由で利用されるが,個人情報や決済機能などが一体となっているスマートフォンが認識や重視度そして購買行動に影響を与え,ひいては出品者あるいはプラットフォーム提供者の戦略にも影響を与える.さらに国内ECと越境ECの利用と認識について比較するための幅広い年齢層を対象とした調査を行ったが,越境ECは国内ECについて信用や個人情報対策が購買意思決定におよぼす影響が異なることを調べた.これらの成果については国際カンファレンスおよび国内学会の全国大会で報告する予定である.さらに20年度中に,日本と中国の若者世代のECや越境ECに対する認識と購買行動の違いについて調査を行う予定である. またECあるいは越境ECに取り組む事業者については,松山商工会議所の松山EC研究会および他地域の研究会,さらには個別企業を訪問インタビュー調査を通して情報収集を行った.地方においてもECおよび越境ECに対する関心は一定数見られる.具体的・直接的な支援策に対しては強い関心があるが,人材不足もあり取り組みの広がりは足踏み状態が見られる. これらの研究を進めることで,ECや越境ECの普及や戦略導出に繋がることが期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
18年度は大学生を中心とした若者世代の消費者行動の検討が中心であったが,19年度は,フリマアプリおよび越境ECに対する消費者の利用状況および認識している利用態度に関して20歳代から70歳代までの幅広い年齢層を対象としたアンケート調査を行うことができた.BtoC-ECおよびCtoC-ECに対する認識や行動,日本国内のECと越境ECについて前年度に課題としていた幅広い日本人を対象とした調査を行うことができ一定の結果を得ることができたため,アンケート調査については順調に進展していると考える.調査結果の一部既に国際カンファレンスおよび国内学会の全国大会で報告すると共に20年度にも報告および論文の執筆で成果を公表する.論文作成の過程で先行研究のサーベイを行っているので,まだ十分ではないが先行研究および調査の検討についてもおおむね順調に進展しているといえる.国内ECおよび越境ECに取り組む事業者のヒアリング調査については,松山EC研究会および他地域の事業者の研究会での情報収集さらには個別企業の訪問インタビュー調査を行うことができた.四国以外の地域を対象とした調査については研究実施計画から少し遅れ,広域かつ体系的な調査には至っていないので今後改善していく.しかし具体的支援や事業者が必要としている支援については一定の情報を得ることができたので,今後の研究に活かすことができる. 現在研究組織内で,オンラインショッピング・モールのクチコミやSNSのクチコミ情報の分析,フリマサイトの属性や価格などの分析,ECおよび越境ECの消費者行動の分析,事業者のインタビュー調査など,共同研究の体制と役割分担ができつつある.20年度は役割分担をしながら,研究・調査をさらに進めていく.
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今後の研究の推進方策 |
フリマアプリ,国内ECおよび越境ECに対するアンケート調査は,日本全体の幅広い年齢層を対象に網羅的な調査を,若者世代を対象に商品を絞りながらECとリアル店舗との相乗効果を考慮した調査を実施する.調査対象は日本人の回答者に加えて中国の若者へも広げて実施することを予定している.ECプラットフォームの機能と個人情報対策を含めた信用の影響の違い,BtoCとCtoCの重視度の違い,その他の重要な要因を抽出し,意思決定プロセスを明らかにする. クチコミあるいはSNSがECに与える影響については,オンラインショッピング・モールのクチコミやSNSのクチコミ情報の分析,フリマサイト出品商品の特徴や価格などの分析を行う.これらの分析については共同研究遂行に関する分担・連携の体制ができつつあるので,これまで以上に連絡を密にして取り組む予定である. インタビュー調査については,愛媛県・岐阜県・高知県などで国内ECおよび越境ECに取り組む事業者あるいは事業者の研究会,商工会議所あるいは自治体などの支援組織でのヒアリング調査を予定している.取り扱う商品や越境ECについては対象国が多様になるようにヒアリング先を選定する.先行事例での調査により,越境ECへ取り組むにあたっての障害や戦略などを抽出できると考えている.新型コロナウィルス感染防止で20年度前半のインタビュー調査を実施することが困難であったが、後半に実施する予定としている. 以上の成果は,国内学会の全国大会,国際カンファレンスなどでの報告し,論文にまとめることで公表する.その過程で先行研究のサーベイを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染防止のため計画していた出張を控えたため、未使用額が生じた。翌年度分の助成金と合わせて、インタビュー調査のための旅費として使用する予定である。
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