研究課題/領域番号 |
18K01806
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
菅野 洋介 中央大学, 商学部, 准教授 (00579980)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デザインマネジメント / 製品デザイン開発組織 / 製品開発プロセス / 製品デザイン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、製品デザインに関わる部門間の相互調整や製品開発組織の戦略志向性に着目することで、製品デザイン開発プロセスにおけるそれらの要因が最終的なデザインの成果に及ぼす影響を明らかにすることである。 4年目となる2021年度は、企業の市場対応に関わる行動の傾向を示す「市場志向」概念に着目するとともに、市場志向が製品デザイン成果にどのような影響を及ぼすのかを分析するとともに、その結果を論文にまとめて投稿した。 具体的には、日本の東証一部上場の製造業企業を対象とした質問票調査を通じて収集したデータにもとづき、市場志向を「反応型市場志向」「先行型市場志向」「競争志向」に分類し、それぞれのタイプの市場志向が製品デザイン成果にどのような影響を及ぼすのかを分析した。併せて、本研究では、各市場志向がどのような条件のもとで、成果をどのように規定するのかを明らかにするために、市場の成熟度を3つの段階に分類(流動期、移行期、固定期)し、各市場の発展段階において、各市場志向が製品デザイン成果にどのような影響を及ぼすのかを分析した。 分析の結果、それぞれのタイプの市場志向それ自体は、製品デザイン成果にポジティブな影響を及ぼすものの、各市場の発展段階を考慮に入れた分析では、段階に応じて各市場志向が成果に及ぼす影響は異なることが明らかとなった。これらの研究成果を論文にまとめるとともに投稿し、掲載が採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
企業を対象とした調査を通じてデータは収集できたものの、それらの分析や研究成果としてのとりまとめに想定以上の時間を要し、成果を論文として投稿するのに遅れが生じてしまった。そのため、現段階では、製品開発組織の戦略志向性と製品デザインの成果との関係を明らかにするのに留まり、それらの詳しいメカニズムの解明までは至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、本研究では製品開発組織の志向性が製品デザインの成果に及ぼす影響を分析してきた。次の段階としては、製品開発組織の志向性が製品デザインに関わる部門間の相互作用や統合にどのような影響を及ぼすのかを明らかにしていく。 具体的には、①製品開発組織の志向性、部門間統合、製品デザイン成果、そしてコンテクスト要因を考慮に入れた概念モデルを構築するとともに、②構築した概念モデルにもとづいた質問票調査を実施してデータを収集し、③収集したデータの定量的な分析を通じて、概念モデルを実証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、主に以下の2つが挙げられる。 第1に、本研究では、インターネットを通じた質問票調査と郵送を通じた質問票調査を実施する予定でいるが、それらの調査の実施がすべて済んでいないことが挙げられ、調査費用の予算を繰り越すこととなった。 第2に、調査実施の遅延にともない、データの分析と論文としての掲載が遅れ、国際学会での研究発表に関わる旅費・参加費や英文校正費用などの予算を繰り越すこととなった。
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