研究課題/領域番号 |
18K01809
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
土肥 将敦 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (50433157)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ソーシャル・イノベーション / CSR / 正統性 |
研究実績の概要 |
本課題は、高齢者や障害者、外国人労働者、震災復興等にかかわる社会的課題に対して、企業が事業として関わっていく中で、それらが人間の“善きあり様(Well-being)”に対してどのように貢献できるのかについて考察するものである。具体的には、社会福祉領域におけるビジネスを通したソーシャル・イノベーションが、どのように創出されるのかについての創造プロセスを明らかにし、またこれらのソーシャル・イノベーションを実現させるための論理としての正統性要因を解明することが目的の一つであった。事例研究を通して、ユニークな商品開発の後ろ盾となる企業フィロソフィー(企業理念)の存在や、当該企業のプロトタイプ開発のきっかけを生み出すアウトサイダーとしてのカタリストの存在などが浮かび上がってきている。現時点では、これまでの事例研究の考察結果と合わせて、こうしたソーシャル・イノベーションを推進する正統性要因を4つにカテゴライズして研究を進めている(1.社会環境要因、2. 外部人的資源要因、3. 内部文化的要因、4. 内部技術的要因)。これらの知見をまとめた内容は(Legitimacy of Corporate Social Innovation: Legitimizing Resource Mobilization for Corporate Social Innovation in the Case Studies in Japan)として国際学会ANZAMにおいて報告し、有益かつ建設的なコメントを受ける事ができた。その成果を中間取り纏めとして、同タイトルで論文を掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年3月より1年間在外研究員としてベルリン自由大学に赴き、ドイツ国内の企業調査実施ならびに欧州を中心とする学会・研究会等に参加予定であったが、COVID-19の世界的な広がりにより現時点で渡航を延期しており、今後の調査等の先行きが見通せないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCOVID-19の収束状況に依存する形になると予想されるため、研究最終年度の推進方策については見通しが立ちにくい状況にある。その一方で、当初の研究計画には想定していなかったものの現在並行して進めている研究内容に、「日本の製造業における企業の持続可能なサプライチェーンの構築とウェルビーイング」があり、これらの調査研究も遂行し、本研究課題の補足的な位置づけとしてまとめていく予定である。また、これまでの執筆者の研究成果と過去2年間の調査をとりまとめる形で書籍の出版も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用差額分は、オーストラリアの国際学会の国際航空運賃等が当初の予定より安く抑える事が可能になったためであり、これらは次年度の書籍購入代として使用する予定である。
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