研究課題/領域番号 |
18K01809
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
土肥 将敦 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (50433157)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ソーシャル・イノベーション / ステイクホルダー理論 |
研究実績の概要 |
今年度はソーシャル・イノベーションの中でも企業によるコーポレート・ソーシャル・イノベーション(CSI)に焦点を当て、CSIが実現するまでのプロセスにおいて、考慮すべき理論的な側面を中心に研究を行った。とくに、シュムペーターやコールなどの企業者研究の代表的な論者たちが、説明の対象外としてきた社会的な側面や制度的な側面について考察し、それらの制度的な変革に注力する存在としての近年の制度的企業者研究や政策的企業者研究のサーベイを行った。それらの研究群からは、制度的変革や社会変革を遂行するために、企業者たちが「制度的空隙」をいかにして発見し、彼らが有する「社会的スキル」や、さまざまな「境界線戦略」を採用する点に注目した。その上で、社会的企業者がさまざまな社会的課題の中から、どのような論理によって課題を特定し、対象となるステイクホルダーを選定するかについての理論として、企業者や経営者の視点による社会的課題やステイクホルダーの明確化にかかわるステイクホルダー理論(明確性アプローチなど)をサーベイした。特定された社会的課題やステイクホルダーの課題解決に向けて、経済的資源や社会的資源を獲得するためにどのようなステイクホルダーに対してどのような正統性を示したり、付与されるのかについて正統性にかかわる理論研究や社会的ライセンスにかかわる先行研究についても整理を行った。他にも、手元にある資源をなんとかやりくりすることによって必要な経済的資源や社会的資源を獲得する「ソーシャル・ブリコラージュ理論」にも注目した。今年度の補助金は主として上記の研究を遂行するための文献の購入費に充当された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題を含んだこれまでの研究成果を取り纏め、社会的企業者にかかわる学術書として今年度中に出版予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であるため、本研究課題を含んだこれまでの研究成果を取り纏め、学術書として出版予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの広がりにより、当初予定していたインタビュー調査および海外での学会報告が延期になったことが主たる理由である。
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