研究課題/領域番号 |
18K01811
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
諸上 茂登 明治大学, 商学部, 専任教授 (60130837)
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研究分担者 |
臼井 哲也 日本大学, 法学部, 教授 (60409422)
橋本 雅隆 明治大学, グローバル・ビジネス研究科, 専任教授 (30218424)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マーケティング・ケイパビリティ / 多国籍企業 / 国際マーケティング |
研究実績の概要 |
本課題の目的は,優れた国際マーケティングを実行する多国籍企業の組織ケイパビリティの内容分析と実証的検証にある。多国籍企業組織における国際マーケティング関連行動を整理し,戦略論,多国籍企業論と統合し,「国際マーケティング・ケイパビリティ」として概念化する。一体,優れた国際マーケティング・ケイパビリティとはどのような組織ルーティンによって構成されているのか。そして国際マーケティング・ケイパビリティは事業成果へどのような影響を与えているのか。これらの問いに回答を与えるのが本課題のゴールである。 初年度の本年は,すでに課題開始前より着手してきた「マーケティング・ケイパビリティ」の文献レビューに基づき,概念フレームを開発した。これに加え,米国系多国籍企業の日本子会社を対象とした帰納的なケーススタディを実施した。その結果,多国籍企業における独自の「国際マーケティング・ケイパビリティ」として本社と子会社間の調整の重要性が浮かび上がってきた。これは既存のマーケティング・ケイパビリティ研究とは異なる新たな構成概念である。さらに概念フレームに基づき仮説を構築し,大規模なアンケート調査を用いて,国際マーケティング・ケイパビリティと事業成果の関係を実証的に検討した。 これら研究成果は図書としてまとめ,2019年5月に出版している。今後,本研究課題に関して,国内外の学会等を通じて対話を深め,ブラッシュアップを図っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本課題開始前より取り組んできた文献レビューによって,初年度の早い段階で概念フレームを開発することができた。これにより,計画よりも前倒しで,実証研究を実施することができた。定性分析では,米国系多国籍企業の子会社を対象とした帰納的なケーススタディを実施した。また定量調査では,日系多国籍企業のアジアの子会社262社を対象としたアンケート調査を実施した。これら研究成果は2019年5月に図書『国際マーケティング・ケイパビリティ』として出版している。 このように本課題開始前より計画的に準備したことにより,当初計画よりもかなり前倒しで第一弾の研究成果を世に送り出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回実施した定量・定性分析は多国籍企業の子会社のパースペクティブを採用し,分析単位も子会社にしている。多国籍企業全社の国際マーケティング・ケイパビリティの内容分析に迫るためには,本社を対象とした分析が欠かせない。 そこで今後は,日系多国籍企業本社を対象とした調査を推進し,国際マーケティング・ケイパビリティを子会社と本社の両面より分析する。構成概念の妥当性,分析フレームのブラッシュアップを目的として,国内外の学会にて積極的に報告する。来年度は海外より専門家を招聘し,ワークショップを開催する。これら活動を通じ,研究成果を国内の図書出版に留めることなく,海外ジャーナルへの投稿にチャレンジする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は米国から専門家を招聘してワークショップを開催する。次年度使用額はその際の謝金等に充てる予定である。
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