研究課題/領域番号 |
18K01812
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
遠藤 公嗣 明治大学, 経営学部, 専任教授 (20143521)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 同一価値労働同一賃金 / 賃金 / ILO / 100号条約 / 生活保障 |
研究実績の概要 |
第1に、2019春までに研究で得られた知見を総括した。そして、「同一価値労働同一賃金」が米国で研究開発されながら、米国では普及せず、欧州諸国で普及したことをあきらかにした。さらに、その理由に、両者間で生活保障の充実度の違いがあること、理論的考えると、ある社会における「同一価値労働同一賃金」と生活保障は相互支持関係にあること、のしさを得た。この内容を学会発表ペーパーにまとめ、5月の社会政策学会大会で発表した。 学会発表ペーパーにさらに加筆し修正して、これを学術論文として発表した。 第2に、ILO本部の文書室を訪問し、ILO100号条約の審議関連の未公開文書を閲覧することができ、それらについての資料研究をはじめることができた。その一部の研究成果として、当時の日本政府が、ILO復帰前にもかかわらず、100号条約案についての意見を求められ、日本政府は公式意見書をILOに送付していることを発見した。公式意見書の内容は、日本政府が100号条約案を正確に理解していることを示していた。このことについて、学術論文をまとめて公刊することができた。ILO未公開文書の資料研究については、引き続いて実施中である。 第3に、「同一価値労働同一賃金」原則と、日本の正社員の「生活給」思想ないし年功給について、「平等」との価値規範から、それらの意味を比較研究した。とくに歴史を振りかえって意味を考察することに重点を置き、草稿を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度冬期に、私自身の体調不良があり、その回復直後から、新型コロナウィルス感染流行による外出規制がはじまった。主に大学研究室に資料その他を集積していて、研究室で研究をすすめる私にとっては、これは研究推進の大きな障害となった。 また、2020年3月下旬に、米国ボストンに出張し、ハーバード大学所蔵のフリーダ・ミラー文書の追加調査および、その娘のエリザベスと文書の新規調査を計画していたが、これを中止せざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスのワクチンなどが開発され、流行が収まることを祈る。これが収まらなければ、外国出張による資料収集の実施は不可能である。 すでに集めた資料および既公刊研究文献の研究につとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に米国ボストン市に出張を予定していたが、新型コロナウィルス流行のため、これを実施できなかった。
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