研究課題/領域番号 |
18K01814
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
西岡 由美 立正大学, 経営学部, 教授 (30369467)
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研究分担者 |
西村 孝史 首都大学東京, 経営学研究科, 准教授 (40508462)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 雇用区分 / 賃金制度 / 組織内公正性 / 人事制度 / 同一労働同一賃金 |
研究実績の概要 |
2年目となる2019年度は、①既存データを用いた正社員と多様な非正社員の賃金管理に関する研究、②同一企業内の多様な雇用区分の人事管理と組織内公正性に関するデータベースの構築を進めた。具体的には以下のとおりである。 ①正社員と多様な非正社員の賃金管理に関する研究:2018年度の研究成果を発展させるために、非正規雇用、組織内公正性、同一労働同一賃金等に関する研究を欧米の文献を中心にレビューするとともに、既存データを用いた分析の一部を2019年度日本労務学会全国大会で発表した。分析結果から同一企業内で正社員と非正社員で同じ基本給決定要素を重視する企業は、非正社員の基本給水準が高い傾向にあることが明らかになった。さらに非正社員間の賃金決定要素の違いをより詳細に検討するために、非正社員間(フルタイム非正社員、パートタイム非正社員)の賃金管理に関するデータを加えてデータベースを拡充した。 ②人事管理と組織内公正性に関するデータベースの整備:多様な雇用区分の従業員を対象に、非正社員の組織内公正性と人事制度に関するインターネット調査の第2回調査(2時点目)を実施した。同調査は因果の推計を行うために2時点のデータ収集を目的としており、第1回調査の基礎的な集計結果および欧米の先行研究の知見を踏まえて質問票を再検討した。また収集したデータは、2時点データという特性から丁寧なデータ整備が必要であり、研究分担者と協力して同作業を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に計画していたデータベースの構築、多様な人材の活用戦略に関する既存調査データを用いた分析結果の整理はほぼ予定どおり実施した。 定量調査を補完するために実施予定であったインタビュー調査および企業の人事担当者との意見交換会は、2020年2、3月に実施予定であったが、新型コロナウィルスの影響で延期や中止となり実現しなかった。そのため、既存の企業事例情報を収集・整理し、追加で必要な情報については、書面やオンラインにて意見交換を行った。2020年度に引き続き企業事例情報を収集・整理する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、これまでの研究成果をもとに、以下3点について研究を進める予定である。 第1に、組織内公正性に関する欧米の先行研究の検討を進め、日本と欧米における組織内公正の考え方の違いについて整理する。 第2に、構築したデータベースを整理し、追加変数を作成した上で、多様な非正社員に関するデータベースを完成させる。 第3に、既存のデータベースおよび新たに構築したデータベースを用いて、同一企業内の多様な雇用区分間の人事制度と組織内公正性の関係を学術論文としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、2019年2、3月に予定していたインタビュー調査や研究会での発表ができなかったため、そのために計上していた旅費が使用できなかった。 研究をより発展させるためには人的資源管理や組織行動論に関する国際学会への参加を積極的に行う必要性があることから、2019年度に使用できなかった旅費は、2020年度に国際学会への参加費および旅費に使用する計画である。
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