研究課題/領域番号 |
18K01825
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研究機関 | 環太平洋大学 |
研究代表者 |
堀上 明 環太平洋大学, 経営学部, 准教授 (30732127)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 創造性 / リーダーシップ / AI / 人工知能 / 機械学習 / 尺度 / 自由記述 |
研究実績の概要 |
1.創造性思考問題に関するAI(人工知能)採点の課題の検討 尺度開発において問題となる評価方法について、AI(人工知能)による機械採点と、人の評価とを比較し、その結果が示唆する課題を検討した。AI(人工知能)を構成する技術のひとつである機械学習(教師あり機械学習および、教師なし機械学習)を用いて創造性思考問題の自由記述問題を採点した。教師あり機械学習については人の採点結果と比較的高い相関を示したが、100%の一致には遠い状況であった。教師なし機械学習については、人の評価との相関は低く、人による評価基準とAIによる評価基準に差異があるのではないか、ということが示唆された。さらに、日本語による自由記述を対象にAIを用いるには、前処理として形態素解析などの自然言語処理が必須となるが、これについてもいくつかの課題があることが明確になった。 2.テキストマイニングによるリーダーシップ概念の抽出 リーダーシップの定義は研究者の数だけあるとされている。従来の研究のように、理論的に定義を導き出すのではなく、リーダーシップという語句が実際にどのような文脈の中で用いられているのかを分析すれば、組織で発揮されているリーダーシップの実際のイメージに近づくのではないか、という仮定のもと、国内外のリーダーシップに関する文献に書かれている事例や考察の記述を対象にテキストマイニングを実施し、共起ネットワークを作成して分析した。その結果、「影響」という語句が、「リーダーシップ」と強い関係があるという結果が導かれた。この結果から、リーダーシップは、組織におけるリーダーのフォロワーに対する影響力ではないか、ということが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AI(人工知能)技術の急速な発展と、企業における人事領域での活用が、本研究の計画時の予想を上回るスピードでなされており、当初は想定されていなかったAI技術を用いた尺度開発の可能性を検討することが必須となった。そのため、2018年度は機械学習や、その前処理に使用されるテキストマイニングの処理の評価への適用の可能性を検討することとした。年度当初の目的は概ね達成しており、今後は明確になった課題を踏まえた上で研究を継続していくことになる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に実施した研究成果について論文にまとめて投稿する。2019年度は変革型人材を構成する概念のうち、経営人材の使命感に着目して研究を進める。使命感は、特に経営者の場合は、多くの場合、企業の経営理念に反映されると想定される。経営理念に関する先行研究レビュー、経営理念が策定された企業ごとの背景、経営理念に記述されている使命感の抽出を試みながら、経営人材の使命感に対してアプローチを試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
以下の理由により、2018年度の研究費が不足することとなり、2019年度の研究費と合わせて使用する必要が生じたため。 1)AI(人工知能)技術の情報収集のための学会参加が増えたこと。 2)使用している研究用パソコンの不調により急遽代替用のタブレットPCの調達が必要となり予定外の支出が発生したこと。 3)購入を計画していた統計ソフトウェアは、研究用PCの置き換え後(置き換えは2019年度を予定)に購入し、置き換え後のPCにインストールするのが適切と判断したこと。
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