研究課題/領域番号 |
18K01831
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
服部 泰宏 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (70560150)
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研究分担者 |
矢寺 顕行 大阪産業大学, 経営学部, 准教授 (20582521)
新井 康平 大阪府立大学, 経済学研究科, 准教授 (30550313)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人事評価 / 評判 / 人的資本 / 社会関係資本 / 心理的資本 / フィードバック |
研究実績の概要 |
2019年度は,「研究の目的」に明記した3つの調査のうち,(1)日本企業のビジネスパーソンへの質問票調査・インタビュー調査、(2)人事データと実際の評価フィードバック場面の分析を行なった。 (1)については,株式会社島津製作所との共同研究により,1998年度,2013年度,2019年度入社の全社員に対して,人事評価に影響を与える可能性のある要因(人的資本,社会関係資本,心理的資本,上司と部下の関係性であるleader-member-exchangeなど)の測定と,人事評価とは別種の「優秀さ」に関する指標である「評判(personal reputation)」の測定を行なった。あわせて(3)により,(1)の全回答者の過去全ての人事評価と,入社時点での様々なプロフィール要因(性別,出身大学,適性検査スコアなど)を取得した。(1)と(3)を組み合わせることで行なった分析は2つである。 1つ目は,人事評価と(Y1)と組織の中での評判(Y2)を従属変数とする2つの回帰分析である。2018年度中に得られた「組織の中では,フォーマルな人事評価とは別個に,人々の社会的ネットワークの中で形成される評判が形成されており,誰が優秀であるかということを人々が判定するにあたって,また本人が自身の優秀さを理解するにあたって,後者が極めて重要な意味を持つ」という知見に対応するべく,2つの「優秀さ」の指標を比較することを意図したものである。この成果は3本のWoking paperにまとめ,現在いずれも,海外ジャーナルに投稿中である。 2つ目は,人事評価と組織内での評判が,それぞれ本人にとってどのようなフィードバック情報としての意味を持つか,という分析である。本人のモティベーションや自己効力感の醸成に対して,それぞのれ「優秀さ」の指標がどう寄与するかを解析したものであり,こちらは現在,論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の「研究の目的」において設定した調査は,(1)日本企業のビジネスパーソンへの質問票調査・インタビュー調査、(2)実験室実験、(3)企業との協力によって得られる人事データと実際の評価フィードバック場面の分析の3つであった。上記の通り,このうち(1)および(2)についてすでに実施し,複数のペーパーとしてまとめることができたい。(3)に関して,当初予定していた企業とは別の企業との共同研究に変更されたという点以外は,おおよそ予定通りの進捗といえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2020年度においては,(1)日本企業のビジネスパーソンへの質問票調査・インタビュー調査、(2)実験室実験、(3)企業との協力によって得られる人事データと実際の評価フィードバック場面の分析の3つのうち,(3)について2回目の調査(Time2のデータ測定)を行うことと,(1)および(3)で得られた知見を,別の角度から検証するための(2)実験室実験を行う予定である。 新型コロナウイルス感染症拡大により,対面での実験が行いにくい状況ではあるが,リモートでの実施や擬似実験(quasi-experiment),シナリオ法(scenario method)などに切り替えることで,実施の可能性を探りたいと考えている。
また2020年度は,すでに投稿中の英語論文に加えて,新たな研究成果を海外の学会にて報告することも考えている。すでに2020年6月開始の国際心理学会およびアメリカ経営学会にて報告する予定であったが,新型コロナウイルス感染症により前者が大会そのものが延期,後者については共同報告者たちが発表を見送ったため,報告中止となってしまった。新型コロナウイルス感染症の終息を待って,再度,発表の機会を探りたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内納品が難しいことが判明したため,人事評価に関わる書籍の購入を見送ったことによる。2020年度中に発注予定。
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