研究課題/領域番号 |
18K01848
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井口 知栄 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (20411209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国際経営論 / 多国籍企業子会社 / 企業間連携 / 国際研究開発戦略 / 知識フロー |
研究実績の概要 |
本年度の一つ目の研究実績として、アジアにおける多国籍企業の研究開発拠点の国際化の変遷について1年目より執筆していた論文〝MNE R&D Internationalization In Developing Asia”(共著)が、Asia Pacific Journal of Management(査読付)に掲載された。二つ目の研究実績としては、多国籍企業の研究開発拠点の役割の変遷に関するヨーロッパ特有の理論的な概念の存在の有無を明らかにするために、ドイツ、オランダ、デンマークにおいて聞き取り調査を実施し有効な情報やデータを入手した。海外の研究者との研究打ち合わせと、聞き取り調査時の情報を照らし合わせて、在ヨーロッパの研究開発拠点の役割の変遷を多国籍企業側の要因とホスト国側の要因の双方向から詳細に検討し、理論構築を目標とした概念(フレームワーク)に関する論文を執筆した。三つ目の研究実績としては、第36回Euro-Asia Management Studies Association年次大会、第45回European Academy of International Business年次大会、Academy of International Business年次大会、第32回The Association of Japanese Business Studies年次大会で論文報告、パネルディスカッションを行った。四つ目の研究実績としては、〝MNE R&D Internationalization In Developing Asia”(共著)が第36回EAMSA年次大会でPalgrave最優秀論文賞を受賞した。
以上の研究成果を踏まえて、2020年度には、最終年度としてこれまでの理論研究および実証研究の成果を踏まえ、研究課題の解明に向けた分析結果のまとめを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度には、前年度から予定していたホスト国での聞き取り調査を、ドイツ、オランダ、デンマークで予定通り行うことができ、開拓的な現地調査を実施することができた。既存研究に新たな概念を加えて本研究の分析フレームワークを構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度には、ドイツ(2019年度の訪問とは別の産業クラスター)、イギリス(ケンブリッジ)、アイルランド、スイスで聞き取り調査を行い、日系企業のヨーロッパへの研究開発進出プロセスの要因に関する情報収集をすることを目的としていたが、Covit-19の影響で聞き取り調査を延期することが決まっている。そのため、予定していた聞き取り調査の可能性を探しつつ、前年度に構築したフレームワークをより本研究に適合したものにするために既存研究に新たな概念を加えることを前半で行う。聞き取り調査を再開することができたならば、平行して本研究の分析フレームワークを構築し、定量分析と定性分析の成果を論文として発表していきたい。最終年度としてこれまでの理論研究および実証研究の成果を踏まえ、ホストヨーロッパ諸国およびホストアジア諸国の産業政策への意義を提示することを念頭に置き、研究課題の解明に向けた分析結果のまとめを行う予定である。
2019年度に論文を投稿し、発表予定であった国際学会が中止や延期となっているため、発表の場が確保できるかどうかを懸念している。また、ジャーナルへの投稿後のコミュニケーションも通常よりもかなり遅くなっているので出版時期がずれることが現時点で予想されている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたホスト国での聞き取り調査を予定通り行うことができたが、2月~3月において実施予定だった聞き取り調査を延期せざるを得ない状況となったために次年度使用額が生じた。2020年度の前半に延期する予定だった聞き取り調査も不可能なため、可能な限り後半で聞き取り調査を完了させたい。
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