研究課題/領域番号 |
18K01848
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井口 知栄 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (20411209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国際経営論 / 多国籍企業子会社 / 企業間連携 / 国際研究開発戦略 / 知識フロー |
研究実績の概要 |
本年度の一つ目の研究実績として、在日多国籍企業に対して行ったアンケート表を用いたデータによりイノベーション活動について分析をし、2020年度までに学会報告をして様々なコメントを頂き、議論を重ねてきた論文(日本におけるイノベーション活動について在日外資系企業がどのようなネットワークを模索しているのか)の執筆をした。この論文(Subsidiary Competences in Japan: Why Autonomy and Business Networks Matter)は、第10回the Atlas-AFMI国際学会にて学会賞を受賞し、2021年4月の時点で海外ジャーナルの査読審査の第3フェーズの段階であり、2021年度にManagement Internationalに刊行される予定である。二つ目の研究実績として、2019年度にドイツ、オランダ、デンマークにおいて実施した聞き取り調査の情報と、海外の研究者との研究打ち合わせ情報と照らし合わせて、デンマークの企業に関する研究レポート(MHI Vestas Offshore Wind A/S インタビュー調査)を執筆した。今後は、ほかの国々でも入手した情報を用いて、在ヨーロッパの研究開発拠点の役割の変遷を多国籍企業側の要因とホスト国側の要因の双方向から検討していく。
2020年度4月~7月に予定していた企業と官庁へのインタビューを新型コロナのため、全てキャンセルすることとなった。海外学会も直前に延期や中止となり、研究結果の報告機会がほぼなかったため、2021年度まで研究期間を延長することとなった。以上の研究成果を踏まえて、2021年度には、最終年度としてこれまでの理論研究および実証研究の成果を踏まえ、研究課題の解明に向けた分析結果のまとめを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度には、ドイツ(2019年度の訪問とは別の産業クラスター)、イギリス(ケンブリッジ)、アイルランド、スイスで聞き取り調査を行い、日系企業のヨーロッパへの研究開発進出プロセスの要因に関する情報収集をすることを目的としていたが、新型コロナの影響で聞き取り調査を全て中止した。それに加えて同じ理由で予定されていた海外学会が直前に延期(実質中止)や中止となり、研究結果の報告機会がほぼなかった。そのため、2021年度まで補助事業期間の延長申請をした。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた聞き取り調査の可能性を探しつつ、入手可能なデータや情報を用いてNvivo等による定性分析を追加する予定である。それによってこれまで構築したフレームワークをより本研究に適合したものにするために既存研究に新たな概念を加えることをしていく予定である。オンラインであっても聞き取り調査を再開することができたならば、平行して本研究の分析フレームワークを構築し、定量分析と定性分析の成果を論文として発表していきたい。最終年度としてこれまでの理論研究および実証研究の成果を踏まえ、ホストヨーロッパ諸国およびホストアジア諸国の産業政策への意義を提示することを念頭に置き、研究課題の解明に向けた分析結果のまとめを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度予定していた聞き取り調査(ドイツ、イギリス(ケンブリッジ)、アイルランド、スイス)を新型コロナのため、全て中止としたことと、2020年8月までサバティカルで滞在していたイギリスがロックダウンとなりキャンパス閉鎖、外出禁止となり、限られた研究しかできなかったため、補助事業期間の延長の機会を待機していたため。それに加えて同じ理由で予定されていた海外学会が直前に延期(実質中止)や中止となり、研究結果の報告機会がほぼなかったため。
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