研究課題/領域番号 |
18K01848
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井口 知栄 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (20411209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際経営論 / 多国籍企業子会社 / 企業間連携 / 国際研究開発戦略 / 知識フロー |
研究実績の概要 |
本年度の一つ目の研究実績として、これまで取組んできた研究開発拠点の役割の変遷を多国籍企業側の要因とホスト国側の要因の双方向からのインタビュー調査による検討を踏まえて、ホストアジア諸国におけるグローバル・バリュー・チェーンにおける産業政策の意義について学会報告をした。(井口(2021). 多国籍企業によるGVCの進展と変遷:拡大する非出資型(NEM)国際生産の可能性. 国際ビジネス研究学会第28回全国大会統一論題)また、関連する研究実績としては、グローバル・バリュー・チェーンにおける、非出資型国際生産による多国籍企業の活動について、政府の産業政策の重要性について、2020年度までに調査を行ったタイ、フィリピンに加え、ラオスとインドネシアに関する政府主催のセミナーにてコメントをし、ASEAN諸国内での人的資本(Human capital)の重要性の特徴について整理を行った。
二つ目の研究実績として、2020年度に執筆したレポートの対象の企業(MHI Vestas Offshore Wind A/S インタビュー調査)の研究開発戦略、合弁解消等の変化があり、デンマークでインタビュー調査をした担当者に、再度インタビュー調査をする準備が整った。今後の詳細なインタビュー調査は2022年度に行われる予定であるが、在ヨーロッパの研究開発拠点の役割の変遷の要因が、多国籍企業側とホスト国側の双方から詳細に分析できる機会に繋がった。
2021年度も新型コロナのため、企業や官庁へのインタビューが許可されず、国際学会も中止やかなり時差のあるオンライン開催となり研究報告機会やコメントと頂く機会を確保するのが難しい状況であった。そのため、2022年度まで研究期間を延長することとし、2022年度は最終年度として、これまでのデータに加えて入手可能なデータを用いて、当初より対象国や対象企業の数は少なくなりそうだが、研究課題の解明に向けた論文執筆を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
以下の2つの理由から予定より進捗が遅れている。 1)分析の視点を変更せず、2019年度までに入手した情報とデータで研究を進めていたため、新型コロナの影響でそれ以上の情報やデータの追加が困難であった 2)新型コロナの影響で、2020年度前半の国際学会が延期やかなり時差のある状況での開催のみとなり、研究報告機会およびコメントを頂く機会が皆無だった
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今後の研究の推進方策 |
予定していた聞き取り調査が可能となったので、最終年度には、入手可能なデータや情報を用いて定性分析をする予定である。それによってこれまで構築したフレームワークをより本研究に適合したものにするために既存研究に新たな概念を加えることをしていく予定である。また購入可能なデータを入手し、本研究の分析フレームワークを構築し、定量分析を行い、成果を論文として発表していきたい。最終年度としてこれまでの理論研究および実証研究の成果を踏まえ、ホストヨーロッパ諸国およびホストアジア諸国の産業政策への意義を提示することを念頭に置き、研究課題の解明に向けた分析結果のまとめを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度と同様、可能であれば実施したいと予定していたインタビュー調査ができず、方向転換に時間がかかり、限られた研究しかできなかったため。2022年度は入手可能なデータを購入し追加分析をし、予定している追加インタビュー調査を実施し、執筆する論文の校正なども予定している。
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