研究課題/領域番号 |
18K01849
|
研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
水野 由香里 国士舘大学, 経営学部, 教授 (80453463)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 創発戦略 / 転機 / レジリエンス / 備え |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、1)Resource-based view of the firmに依拠した創発戦略の策定プロセスを検証して日本企業の創発戦略を再考すること、2)企業がそれまで蓄積してきた知識や情報、技術などの保有資源を十全に活用して、いかにして新たな事業領域を創出するのかの論理を導出すること、3)その「きっかけ」や「転機」をマネジメントする方法を検討することにあった。 初年度の成果として、1)と2)に関する書籍『戦略は「組織の強さ」に従う』を上梓した。同書では、創発戦略が機能しなくなる論理を明らかにし、創発戦略が機能不全に陥らないための要件を整理した。それに続き、当該年度では、3)に関する書籍『レジリエンスと経営戦略』を上梓した。同書では、新たな事業展開および技術開発の「きっかけ」や「転機」は、組織の外部要因に依拠する場合と内部要因に依拠する場合とが確認された。いずれの場合の転機であっても、組織は、制約や逆境に直面した時、その転機をマネジメントするプロセスで、結果的にではあるが組織が新たな活路を切り拓いていることが明らかとなった。また、転機をマネジメントすることができるかどうかは、日常的な「備え」に依存すること、そして、組織の転機をマネジメントするリーダ―の果たす役割が大きいことが明らかとなった。これらのことから、創発戦略が機能しなくなる理由も同時に明らかとなった。それは、第一に、日常的な「備えの段階」での準備や経験の蓄積が十分に足りていないこと、第二に、組織の転機をマネジメントするリーダーが育っていないこと、第三に、それゆえ、転機のマネジメントを踏まえて次の挑戦をする自走する行動がとれなくなっていることである。 このように、これまで、本研究は計画通りに順調に進んできている。 今後は、組織の創発戦略と経営学におけるResilience研究をさらに進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要で示したように、本研究の3つの目的に関して、既に2冊の書籍を上梓し、本研究の研究成果を広く世に示すことができたためである。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を、国際的な学会の場で報告する予定にしている。また、経営学者として、組織の創発戦略と経営学におけるResilience研究をさらに進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、書籍を上梓したことにより、調査対象地域・組織への調査の回数が減ったことである。 また、使用計画は、次年度に国際的な学会(Academy of International Businessにおける日本経営学会とAssociation of Japanese Business Studiesとのジョイント・セッション)にて報告することが決定したため、この参加費および旅費に使用する予定である。
|