研究課題/領域番号 |
18K01851
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
平澤 哲 中央大学, 商学部, 教授 (70610963)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 社会問題の原因解明 / 問題解決の示唆の提供 |
研究実績の概要 |
本研究は、障害者の就労条件の改善に向けてビジネスを展開している社会的企業に注目し、ソーシャル・イノベーションの形成やその影響について、フィールド調査を通じて明らかにすることを目的としています。これにより、障害者の就労問題を学術的に解明するとともに、問題解決に役立つ実践的な示唆を導き出すことを目指しております。2年目にあたる令和元年度には、障害者就労及び社会的企業家に関して収集した文献、フィールド調査を通じて収集したデータについて、グランデッド・セオリー(Glaser & Strauss , 1967)に基づき、帰納的に分析することに専念しました。また、当該年度には、中央大学の在外研究制度を活用し、米国のボストン・カレッジにて研究活動に専念することができました。その結果、海外の先進的な分析方法や理論的な知見を学習しながら、データ分析では、欧米の研究者から貴重なアドバイスを頂くことができました。また、分析結果を調査協力者にフィードバックすることにより、発見内容の妥当性を向上させることも務めました。その結果、分析結果の一部につきましては、国内の組織学会にて発表する機会を得ることができ、貴重な示唆を得ることができました。また、翌年度には、ヨーロッパの組織学会(European Group for Organizational Studies)にて研究成果の一部を報告できる貴重な機会を得ることができました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定性的な研究では、文献・インタビュー・観察から収集した多様かつ膨大なデータを分析し、そこから学術的な知見を発展させることを目指します。近年の研究では、発見を裏付けるエビデンスの重要性が一層強調されています。このため、時間をかけて着実に分析を進めました。最初に、インタビューの記録を正確に文書化することに時間を費やしました。次に、文書化されたデータを丹念に読み込み、インタビューイ、一人一人の見方を深く理解するように心がけました。また、現場での観察記録も整理し、組織の出来事を多角的に理解するように努めました。その後、関連する学術文献を幅広く検討し、理論的なフレームワークを構築しながら、分析を発展させました。こうした研究成果の一部は、国内学会で報告することができました。ただし、膨大なデータの帰納的な分析に時間を費やしたため、本研究に関する海外での学会報告は、今年度は実施できず、翌年度に、European Group for Organizational Studies にて行うことになりました。また、海外学会誌への投稿も3年目以降の課題として残りました。しかし、総じて、 当初予定していた作業を殆ど全て終えることができたという点で、本研究は、おおむね順調に進展しております。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、データ分析の精度を高めながら、論文の執筆に専心していきます。研究成果については、Academy of Management やEuropean Group of Or ganizational Studies といった海外主要学会で発信し、その後、国際的に評価される査読付きのジャーナルへ投稿します。ただし、就労問題の解決には、学術的知見の蓄積と発表に留まらず、実践の側面での進歩が不可欠です。このため、本研究から 導き出される実践的な示唆については、一般読者に向けの書籍による公表や障害者就労セミナーでの講演を通じて、より多くの人々が現状の問題を認識し、解決に向けて協力関係を生み出せるよう尽力していきたいと考えております。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していたPC機器を購入しなかったため、次年度使用額が生じました。この金額につきましては、PC機器購入のために使用したいと考えております。
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