研究課題/領域番号 |
18K01852
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
室松 慶子 東洋大学, 法学部, 教授 (00312471)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エグゼクティブ・コーチング / 自己変容 / リーダー / 脱線 / フィードバック / 学習 / 強み / 弱み |
研究実績の概要 |
本研究事業の3年目である2020年度の研究実績は、リーダーのためのコーチングにおけるフィードバックの研究、クライアントのCoachabilityに関する研究、リーダーへのエグゼクティブ・コーチングの実践研究、学会やセミナー参加によるリーダー及びコーチング研究の動向の把握、の4点である。 第1に、成功しているリーダーが脱線するのは、「弱み」がその要因の1つであり、トップにいる人物へのフィードバックの欠如が問題とされている。本研究は、コーチングにおいてリーダーの変容を促進するフィードバックに新たな視点を提案し、学術雑誌に掲載された。 第2に、リーダーの脱線は、リーダー自身のキャリアにダメージを与えるだけではなく、組織にとっても多大なる損失である。従来の研究ではサポート体制や風土に対する企業の努力やコーチの能力に焦点が当てられてきた。本研究は、企業やコーチではなく、コーチングを受けるリーダー本人に焦点を当て、クライアントの責任であるCoachabilityについて論じ、これこそがリーダーが個人的・専門的な成長のために有すべき必須の「強み」であることを明らかにした。本研究は、国際学会で口頭発表し、学会のプロシーディングに論文が掲載された。 第3に、リーダーのポジションにある日本人男女に1対1のエグゼクティブ・コーチングを長期間実施する研究を行った。コーチング有と無の2グループを設定した。目標設定の視点を明確にするため、「強み」を見極めるアセスメント及び「弱み」を浮彫にするアセスメントの2種を実施した。「自己変容のプロセス」に留意してクライアントの変化を観察し、プログラム前後及び毎回のセッション後に詳細なアンケートを実施した。 第4に、学会やセミナーへ出席し、リーダーの育成やコーチングに関する最新情報や研究の動向を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、学際的文献研究については順調に進んだが、実践研究はCOVID-19の影響で遅れた。まず、研究協力者の募集に際し、実践研究は長期間に及ぶため、COVID-19の影響により協力する余裕がないという理由で研究協力者としての参加を断られることが多く、協力していただけるリーダーの募集に時間を要した。さらに、COVID-19の状況を勘案し、実践研究を始める時期を見極める必要があり、実践研究のスタートが遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実践研究を継続し、取り組み期間後のアンケート調査を実施し、両グループの調査結果を比較検討する。上記の調査に加え、文献研究及び国内外の学会やセミナー等への参加等により、コーチングやリーダーシップ開発に関する最新の理論を学び、現代社会における課題や問題点、必要とされる能力に関して情報収集する。それらを踏まえ、学際的視点から理論研究と実践研究データの分析を行い、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
出席を予定していた海外開催の国際学会がCOVID-19の影響により中止、あるいは延期となったため、旅費を使用しなかった。予定していた海外資料調査へも行けなかった。次年度についてもCOVID-19の影響が続くと推測され、海外への渡航は難しいと考えられる。リモートでの研究活動のため、PC及び周辺機器の購入を計画している。実践研究の諸費用、学会参加費、文献購入のための使用を計画している。
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