リーダーの能力開発のツールとして注目を浴びているエグゼクティブ・コーチングでは、コーチとクライアントはパートナーであり、クライアント自身が目標の設定をし、ゴールへ到達する責任がある。そのため、クライアントであるリーダーの視点や自主性が不可欠である。本研究では、リーダー自身の能力開発の視点とコーチングの有効性を明らかにすることを目的とした。 昨年度までの本研究で学際的な文献研究及びコーチング実践研究を行い、コーチングにおけるクライアントの変容のプロセスの解明、フィードバックの理論的枠組みの提案、クライアントのコーチアビリティの重要性の提示をし、リーダーの強みと弱み及びコーチングの効果を明らかにした。これらの成果は国際学会で発表し、国際学術雑誌に査読論文として掲載された。国際学会に出席し、現代社会における課題と動向を把握し、コーチング学術研究の広がりと重要性の高まりを再認識した。 本研究事業最終年度の今年度は、実践研究でコーチングをしたリーダー達の目標の視点を分析し、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、ハイブリッドワークが促進されることによるリーダーへの負の影響が深刻になり、新しい環境で生産性を上げるチームの統括をするリーダーに求められる能力が変化したことがわかった。オンライン参加した複数の国際学会でも課題となっていた。これらの新しい能力の解明とコーチングがどのように活用できのるかを研究した成果は、国際学会へのヴァーチャル参加で発表を行った。査読論文として国際学術雑誌に掲載されることになった。 不確実な変化の時代に即したリーダーが、今ほど求められていることはない。補助事業期間全体を通じて実施した本研究は、新しい時代に求められるリーダーの能力とコーチングの効果的な活用法を明らかにした。
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