本研究はこれまでの先行研究を踏まえ、新たな視点として、人類が直面する(避けることが不可能な)「感染症時代」において、企業の重要なITアプリケーションであり、同時に差別化戦略を実現する可能性が高いITアプリケーションであるビデオ会議ツールなど「Collaboration Systems」の経営的及び社会的なインパクトを探求した。特に、ビデオ会議ツールの効果的活用が、組織やチーム(ビジネスコミュニティレベル)というミクロなプロセスレベルでのIT capabilities(IT能力)の解明にある。なぜなら「Collaboration Systems」は、人や組織(コミュニティレベル)のビジネスプロセスや知識の共有さらには知識の創造活動というイノベーションに大きな影響を与えるからである。 ITアプリケーションを活用した企業の経営革新や新たなビジネスモデルを生み出していく企業のIT Capabilitiesとは、ITアプリケーションのハードやソフトといった技術的機能そのものだけでなく、人や組織の有する知識(無形資産)に負うところが大きい。 本研究が提示するインプリケーションとして、「Collaboration Systems」のようなITアプリケーションの活用形態や経営的効果として、企業内および顧客を含めた企業間でのIT-enabled knowledge communitiesを生成・発展させ、企業にとって競争力強化をもたらすことが明らかとなった。学術的かつ実践的には、「Collaboration Systems」の戦略的活用は、企業の「Explorationの活動」を推進し、人や組織の創造性を高める。一方で、「Exploitationの活動」に対しては、企業にとってスピードと効率性を高め、既存の知識活用の改善・改良を促進する可能性を高めることが明らかとなった。
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