研究課題/領域番号 |
18K01855
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
高田 朝子 法政大学, イノベーション・マネジメント研究科, 教授 (10349194)
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研究分担者 |
恩蔵 三穂 高千穂大学, 商学部, 教授 (10287956)
横田 絵理 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (20277700)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 女性後継者 / リーダーシップ / 父親からの承継 / 比較研究 / 教育 / 正当性 |
研究実績の概要 |
本年度は大きく分けて二つの成果があった。一つはコロナ禍で実施できなかったインタビュー調査が予定よりも少ない数ではあったが実施できたこと。これは、2021年以降の調査への大きな示唆を得ることが出来た。二つ目は、女性後継者の後継プロセスにおいて我が国では初めて明らかになったことである。我が国において女性後継者の後継プロセスそのものに焦点をあてた研究は管見のかぎり存在しないことが分かった。本研究は女性後継者27名への調査を行い実践的な知見を得た。女性後継者は既存研究で示された入社時から確固たる後継の意志を持つというパターン以外に、家業で働く中で後継の決意をするという新たなパターンがあることが確認された。その背景にあるのは彼女達の家業への強いコミットメントである。彼女達が後継プロセスに入ったと認知するのは、父親が後継についての依頼をしたときからであり、後継プロセスが二重構造を持って認知されているのではないかと解釈することが出来た。父親が正当性を担保しているのではなく、父親が後継の意思決定を表明した時から娘が自らを正当な後継者として認知する傾向があることが分かった。 正当性の獲得に対して、既存研究では父親が娘の後継者としての正当性の担保であったことが指摘されたが、我が国では父親を自らの正当性の担保と考えている女性後継者は殆どなく、家業の継続と繁栄のために無心で働き、実績を積むことで自らの後継者としての地位を獲得していた。つまり、家業への強いコミットメントを入社後から長い時間を掛けて示すことによって正当性を獲得していたことが本研究での結論といえる。
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