研究課題/領域番号 |
18K01858
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
西浦 昭雄 創価大学, 経済学部, 教授 (00298217)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 南アフリカ / BEE政策 / 企業経営 / コーポレート・ガバナンス / 企業統治 / 経済格差是正策 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、南アフリカ共和国において実施されている黒人経済力強化(BEE)政策が、企業経営をどのように変容させてきたのかという問いに対し、企業統治(コーポレート・ガバナンス)論の視点から解明することである。2018年度の研究計画としては、①先行研究に精査、企業データの収集、②調査項目・方法・相手先の第一次案の策定、③南アフリカにおける予備調査を掲げていた。 まず①の点に関しては、マレーシアの所得格差是正策、南アフリカの黒人経済力強化(BEE)政策、企業統治論に関わる先行研究を入手し、精査した。また、南アフリカ諸企業の企業情報に関するデータを収集し始め、とくに③の予備調査の際に企業情報を提供している企業とも協議した。 次に②に関しては、①の先行研究や企業情報を参照しながら、2019年2月の予備調査に向けて調査項目と、項目に応じた調査の方法、調査の相手先(企業加え、政府・自治体の関連部署、取引先、研究者など)について第一次案を策定した。 最後の③に関しては、2019年2月に南アフリカのヨハネスブルグ市、プレトリア市、ダーバン市およびそれら周辺都市を訪問し、②で策定した第一次案を用いて予備調査を行った。滞在中に経済・経営者団体、研究者、公的機関、現地・日系法人企業、企業情報会社等、合計で17件を訪問し、BEE政策の企業経営(とくにコーポレート・ガバナンス)の変容に与えている影響についてヒアリングおよび情報収集、意見交換を行い、各調査項目の適切性、情報の入手可能性、調査方法の有効性、相手先の適合性を確認できた。 以上のことから、全体的に当初の研究計画を概ね達成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の研究計画としては、①先行研究に精査、企業データの収集、②調査項目・方法・相手先の第一次案の策定、③南アフリカにおける予備調査を掲げていた。 まず①の点に関しては、マレーシアの所得格差是正策、南アフリカの黒人経済力強化(BEE)政策、企業統治論に関わる先行研究を入手し、精査した。また、南アフリカ諸企業の企業情報に関するデータを収集し始めたことに加え、とくに③の予備調査の際に企業情報を取り扱っている企業を予備調査を訪問し、その代表とデータ・ベースの利用可能性について協議した。 次に②に関しては、①の先行研究や企業情報を参照しながら、2019年2月の予備調査に向けて調査項目と、項目に応じた調査の方法、調査の相手先(企業加え、政府・自治体の関連部署、取引先、研究者など)について第一次案を策定した。 最後の③に関しては、2019年2月に南アフリカのヨハネスブルグ市、プレトリア市、ダーバン市およびそれら周辺都市を訪問し、②で策定した第一次案を用いて予備調査を行った。滞在中に経済・経営者団体(南アフリカ商工会議所、南アフリカ銀行協会、ダーバン商工会議所)、研究者(ウィットウォータースランド大学、南アフリカ大学、ヨハネスブルグ大学)、金融部門移行評議会、現地・日系法人企業、企業情報会社等、合計で17件を訪問し、BEE政策の企業経営(とくにコーポレート・ガバナンス)の変容に与えている影響についてヒアリングおよび情報収集、意見交換を行い、各調査項目の適切性、情報の入手可能性、調査方法の有効性、相手先の適合性を確認した。 以上のことから、全体的に当初の研究計画を概ね達成することができたと自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年2月の予備調査の結果、ヨハネスブルグとダーバンにおける複数の経済・経営者団体、機関から協力を得ることが可能になった。予備調査で会えた以外にも、先方との都合があわず、次回の現地訪問の際に訪問を約束できた研究者・機関が複数あり、2年目以降の本格的現地調査に対する足がかりができた。 2019年度については、当初の計画にあるように、①南アフリカ3都市での本格的現地調査と②本研究の中間検証を行っていく。 まず、①の南アフリカ3都市での本格的現地調査については、調査可能性を吟味しながら、予備調査で行ったヨハネスブルグ、ダーバン、プレトリアに切り替えることを含めて検討し、本格的な現地調査を実施していく。滞在中、企業や関係部署へのインタビュー調査を実施しながら現地にて関連資料の収集していく。 次に②に関しては本研究の進捗状況を検証し、当初の計画の実行性、新たな課題に対する方策、追加調査の必要性、理論的枠組みづくりを検証し、次年度の研究方向性を明確化する。さらに、学会や研究会等の場で進捗を発表し、コメントに傾聴する中で本研究の中間検証を行うことを目指していく。 2020年度については、当初計画したように①前年度までに調査の不十分な点を補うための現地調査およびワークショップの開催と、②学術論文や学会発表による研究結果の検証する。さらに南アフリカに2週間強訪問し、補強が必要な項目についての補足調査を行う、ことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由については2点ある。1点目は、研究経費として見込んでいた企業データベースについて次年度に継続して検討することにしたためである。予備調査において、企業情報のデータベースを提供している企業の代表者と協議したが、利用額が当初見込んでいた額より相当に高く、その有用性や調整可能かどうかを次年度に回して吟味検討する必要性が生じた。 2点目は、為替レートや飛行機代、宿泊費、車両借り上げ代等の関係から、当初予定していた費用を下回ったためである。
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