本研究の目的は、南アフリカ共和国において実施されている黒人経済力強化(BEE)政策が、企業経営をどのように変容させてきたのかという問いに対し、企業統治(コーポレート・ガバナンス)論の視点から解明することである。2018年度の研究計画としては、①先行研究に精査、企業データの収集、②調査項目・方法・相手先の第一次案の策定、③南アフリカにおける予備調査を掲げていた。 COVID-19の影響で研究期間の再延長が認められた2022年度においては、現地調査の代わりとして企業データベースを活用した分析にシフトした。そこで2021年3月には、企業データベースの契約更新を行い、2022年度は最終年度として継続的に研究を行い、成果のとりまとめを予定していた。 2022年度の研究実績については、企業データベースを活用するとともに、BEE政策や南アフリカ企業の動向を得るために追加的な図書の購入にあてた。また、本研究の後継研究として、同一研究代表者による基盤研究(C)「東南部アフリカの小規模食品加工企業における成長軌跡に関する研究」(2021年度~2023年度)とオーバーラップする部分もある。とくに2022年度は後継研究において南アフリカに焦点をあてたこともあり、企業のBEE水準等、企業データベースを有効に活用できた。また、2023年2月~3月に同国に現地調査した際には、BEE政策の視点も取り入れながら、フォローアップ調査の意味合いも持たせることできた。南アフリカの小規模食品加工企業を論じる際にはBEE政策の影響という視点も不可欠なことから、2023年5月~6月に口頭発表を採択されたに2つの学会の学術大会においては、両基盤研究(C)の研究成果をあわせて発表することを予定している。
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