最終年度に当たる2022年度は、シリコンバレーのスタートアップ企業を訪ね、リモートワークのもとで働く人たちが集まる場で、またリモートで自分たちのビジネスと成果を披瀝し、互いに承認欲求を満たしていること、それがどのようにモチベーション向上に役立っているかを取材した。その成果は学会報告や著書、講演などに反映されている。 研究機関全体のなかでは、上記のほか第1に大企業ならびに中小企業の管理職、一般従業員に対してリモートによる聞き取り調査を実施した。コロナ禍の影響により、テレワークが浸透し、働き方もマネジメントも大きく変化したことが明らかになった。企業のなかには、従業員の承認欲求を満たすため、パソコンのチャット機能などを利用して部下の仕事ぶりや貢献に対して承認のメッセージを送る工夫をしているところが多い。それによって社員の不満が最小限に抑えられているという管理職の声が多く聞かれた。第2に 企業の経営者やマネジャーに対し、インターネットによる調査を実施した。内容は、新たな制度導入の可能性、自社の業務に対する適合度などについての質問である。調査結果は業種別、規模別などによって集計し、著書や学会報告で発表した。また働く人に対する質問では、仕事に対する挑戦意欲や転職・独立への意識、同僚の振る舞いについての意識などについて尋ねた。全体的に挑戦意欲やマネジメントに対する満足度の低さが表れている。なお詳細については著書などに記載されている。
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