研究実績の概要 |
新型コロナウィルス感染症の影響で研究期間を延長したが、今年度はその最終年度という位置づけである。 本年度の研究成果の報告については、まずXXV International Conference on Business, Economics, Law, Language & Psychology(於:タイ・バンコク、2022年12月21日)において、Estimation of Goodwill Impairment Lossesというテーマで報告を行った。そこでは知的財産を含むのれん代の減損リスクを分析するモデルを提示した。 また、日本比較経営学会第48回全国大会(於:岐阜大学、2023年5月14日)において、「ICT 多国籍企業の知的財産マネジメントとその問題点」というテーマで報告を行った。本報告は、まず ICT 多国籍企業が財の移転から知的財産を戦略的に活用することへ、そうすることによって企業価値を最大化しようとしている行動とその背景を提示した。つぎに、アメリカ、日本、韓国、台湾、中国、香港などを巻き込んだ ICT 多国籍企業の国際分業のなかで、多国籍企業の財と価値が創り出されるグローバル・バリューチェーン(GVC)上の各国、各企業への価値の分配の問題点について考察した。最後に、そうした問題に対して中国の ICT 企業の発展、および税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトの影響について展望した。 また、研究成果の中間報告の位置づけにあたるものとして「ICT 多国籍企業の国際分業(研究ノート)」というテーマで『龍谷大学経営学論集』第62巻第3・4号(pp.61-69)に投稿し、掲載された(2023年5月19日刊行)。今後、研究の最終的なまとめを刊行する予定である。
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