本研究の目的は仕事と治療の両立の課題に直面するものが増加する時代に備え、企業による仕事と治療の両立支援の望ましいあり方を「がん治療」の事例から明らかにすることである。 2021年度は、昨年日本経営学会第94回全国大会(慶應義塾大学 2020年9月2日~5日)で報告により得た知見を加え、日本マネジメント学会関東部会で 「職場における両立支援相談の容易さに関連する要因-がん治療のケースを想定して-」(立教大学 7月24日)で報告した。これを論文、「『罹患相談が可能な職場の雰囲気』を規定する要因に関する分析 ―がん治療のケースを想定して―」として、日本マネジメント学会・学会誌『経営教育研究』に投稿した。査読の上受理され、 第25巻第1号〔令和4(2022)年 7月〕に掲載予定である。 また、「仕事とがん治療の両立支援」に関して日本では未調査な事項についての英文文献3本の抄訳とレビューを論文「仕事と治療の両立支援に関する文献調査(2)―がん治療を対象に」として、『羽衣国際大学現代社会学部研究紀要』第11号〔令和4(2022)年 3月〕に掲載された。 また、コロナ禍により2020年度の研究活動が制限されたが、これをカバーするための追調査を行った。在職中にがん治療を経験し、現在も就労している(または求職中)のN=417人を対象に、がん罹患確定診断時の職場の状況と本人の選択(治療負担の重軽、職場での罹患と勤続希望の相談の有無、両立支援制度・利用の有無、上司の対応、勤続・退職〈=転職〉等)についてインターネットでアンケート調査を実施し、分析を進めている。
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